色覚異常と色めがねで語る劣性と優性の違い

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色覚異常と色めがねで語る劣性と優性の違い

2017-09-11

皆さん、色メガネって知ってますか?

Contents

色メガネとは

色メガネを大辞林で引くと、

大辞林 第三版の解説
いろめがね【色眼鏡】
1.色つきのガラス・プラスチックなどのレンズをはめた眼鏡。
2.(比喩的に)先入観をもってものを見ること。 「 -で人を見る」

と書いてあります。
サングラスとかのことと、先入観をもってモノを見ることの二つの意味があります。

今回は、この色めがねのお話をします。

色メガネで人を見る

「先入観をもってものを見ること」を「色メガネで人を見る。」といいます。

この色メガネ、人によってその色が違います
その色は、その人の年齢や知識や住んでるところなどの様々な条件で変わります。

そして、この色メガネの色を変えるのは結構難しいのです。

髪の毛ぼっさぼさで無精ひげを生やして、よれよれのTシャツを着ている人なんかを見ると、

「立派な社会人じゃないな。」

とか、

*写真はイメージです

チェック柄の服を着て、メガネをかけて、リュックを背負ってる人を見ると、

「あ、ヲタクの人かな?」

とかって思ってしまいますよね?

*写真はイメージです

逆に、きっちりしたスーツを着て、爽やかな笑顔を振りまいている人が犯罪を犯しても、

「犯罪を犯すような人には見えなかった!」

ってなったりするわけです。

多くの人は、人を色メガネで見ているんです。

色覚異常とは

実はその偏見とか思い込みによる色メガネをかけている人とは別に、文字通り、リアルに色メガネをかけている人がいます。

色覚異常の人です。

人間は、赤、青、緑のいわゆる光の三原色といわれる光を認識する細胞が目にあって、色を識別することができます。
人さし指にちょっとだけ水をつけて、スマホやPCのモニタに、その水をつけてみてください。
水がレンズの役目をして、赤と青と緑の光の縞模様とかドットが見えると思います。

実は、人間が色を認識する画面とかは、赤、青、緑のちっさな点々がぎっしり詰まってできているんです。
その色の明るさを変えることで、いろんな色を出せるのです。

しかし、色覚異常の人は赤、青、緑のうちのどれかを認識する遺伝子が異常になっていますので、見えない色が出てきます。
人によって、見えない色が1つであったり全部であったりします。
全部異常なら、明るいか暗いか?くらいしかわからなくなります。

この色覚異常の人が見ている世界はどれだけ違う? 再現してみた という記事には、色の見え方がわかりやすく解説されてますので、読んでみてください。

色覚異常が体験できるアプリ

スマホのアプリで色覚異常の人が見ている世界を体験できるものもあります。

色のめがね

です。
その解説
iOSアプリ「色のめがね」と色覚に関する会話

ぜひ、みんなで体験してみて、色覚異常に対する知識と認識を共有し、こういう人もいるんだなぁ。
っていうことを覚えておいてください。

ちなみに、男性の20人に1人は色覚異常があると言われています。

劣性遺伝は偏見なの?

実はこの記事を書こうと思った理由は、

遺伝学の基礎用語である優性、劣性という単語を使うのをやめます。

と、遺伝学会が宣言したからなんです。

遺伝の「優性」「劣性」使うのやめます 学会が用語改訂
2017年9月6日19時11分

遺伝の法則の「優性」「劣性」は使いません――。
誤解や偏見につながりかねなかったり、分かりにくかったりする用語を、日本遺伝学会が改訂した。
用語集としてまとめ、今月中旬、一般向けに発売する。

メンデルの遺伝学の訳語として使われてきた「優性」「劣性」は、遺伝子の特徴の現れやすさを示すにすぎないが、優れている、劣っているという語感があり、誤解されやすい
「劣性遺伝病」と診断された人はマイナスイメージを抱き、不安になりがちだ。
日本人類遺伝学会とも協議して見直しを進め、「優性」は「顕性」、「劣性」は「潜性」と言い換える

 他にも、「バリエーション」の訳語の一つだった「変異」は「多様性」に
遺伝情報の多様性が一人一人違う特徴となるという基本的な考え方が伝わるようにする。
色の見え方は人によって多様だという認識から「色覚異常」や「色盲」は「色覚多様性」とした。

 学会長の小林武彦東京大教授は「改訂した用語の普及に努める。
教科書の用語も変えてほしいと文部科学省に要望書も出す予定だ」と話す。
用語集「遺伝単」(エヌ・ティー・エス)は税抜き2800円。
(編集委員・瀬川茂子)

最初に言っておくと、これは、改悪です。
個人的にはおそらく、優性、劣性という言葉は今後もそのまま使われ続けると思います。
この遺伝学会は馬鹿にされて終わりでしょう。

なぜなら、基礎単語を変えるなんてことは容易にはできないし、意味がないからです。

カラスはいいイメージがないので、カラスを明日からスラカに改名しましょう!って言ってるようなもんです。

患者にとってもなんの根本的解決にもなっていないし、現場を混乱させるだけだし、今までの書物とかを全部書き換えなきゃならないし、普通に考えて頭が悪すぎます。

そもそも、言い方を変えたって、差別や偏見はなくなりません。
差別や偏見をなくすには、言葉を変えるんじゃなくて、みんなの認識を変えないといけないんです。

劣性遺伝子とは

色覚異常などは、遺伝子に変異がはいることにより、劣性となった遺伝子が原因で生じます。
これを聞いても何のことかわからないですよね。
難しいですよね。。。

なので簡単に、みなさんもご存じの血液型で例えます。

血液型(を決める抗体)の遺伝子であるAとBは優性です。
Oは劣性です。

A型になる場合

A遺伝子を二つ(AA)、もしくは一つ(AO)持ち、B遺伝子を持たないときにA型になります。
AOの型の時に、O型にならないのは、AがOに対して優勢(優性)だから、Aが表へでてきて、Oは劣勢(劣性)なので、バックアップとなるからです。

B型になる場合

B遺伝子を二つ(BB)、もしくは一つ(BO)持ち、A遺伝子を持たないときにB型になります。
BOの型の時に、O型にならないのは、BがOに対して優勢(優性)だから、Bが表へでてきて、Oは劣勢(劣性)なので、バックアップとなるからです。

AB型になる場合

A遺伝子を一つと、B遺伝子を一つ持つとき(AB)にAB型になります。
AとBは、どちらも優勢(優性)なので、AもBも主張しあって、表へ出てきて、AB型となるのです。

O型になる場合

A遺伝子もB遺伝子も持たないとき(OO)にO型になります。
優性であるA遺伝子もB遺伝子もないので、劣性であるOの形質が出てくることになります。
実は、もともとO型は、「A遺伝子もB遺伝子も持っていない、ゼロ型(もしくはC型)」だったんです。
ゼロ型が、アルファベットのO(オー)に間違えられて、O型になったんです。

人間の血液型は大まかに、A,B,AB,Oと四種類に分けられますが、別に血液型によって優劣が付けられるわけじゃありません。

まあ、確かに、
「A型の人にはA型とo型の人が輸血できる。」
とか、
「O型の人にはO型の人の血しか輸血できない。」
とかっていう違いはありますが、それは、O型の人にA型やB型の血が入ってくると、血液が固まっちゃって死ぬから。
とかっていう理由です。

決して、優性だから、劣性だからっていうので人間の優劣が決まっているわけじゃないです。

色覚異常が男性に多い理由

色覚異常の人の大半は男性で、それは、を認識する色センサーを作る遺伝子が性染色体であるX染色体にあるからです。

絵は:色覚異常遺伝子の研究より転載

男性の場合、性染色体がXYです。
Xという染色体と、Yという染色体をひとつずつしかもってません。
なので、X染色体に異常があると、それがモロに出ちゃいます。
だから、男性の場合、X染色体にある遺伝子の変異の異常はめっちゃ出やすいのです。
血友病になる遺伝子もX染色体にあるので、男性に多いわけです。

一方、女性の性染色体はXXと、X染色体が二つあります。
代わりに、精子を作る遺伝子とか、オスになるための遺伝子が載っているY染色体がありません。
X染色体が二つあると、一つが変異して異常になったとしても、もう一つが正常だったら、ちゃんと色を識別するセンサーができるので、色覚異常にならないケースが多いんです。
まあ、二つとも以上になっちゃったら、色覚異常になっちゃうんですけども、その確率は男性よりもだいぶん低いんです。

劣性とは、人格的に劣っているという意味ではない

劣性遺伝子があっても、人間として劣っているわけではありません。
まあ、体の機能の一部が機能しないので、正常な人よりは暮らしにくいですが、それは、人格とか知能が劣っているという意味ではありません
もちろん、知能に関わる遺伝子が異常になったら、知能は落ちますよ。
当たり前ですけども。

劣性とは、英語のrecessiveを日本語に訳しただけのものです。
ただ単に、機能する遺伝子か、バックアップにまわる遺伝子かってだけの違いです。
(まあ、詳しく書いたら実際はいろいろありますが、今回は割愛します。)

で、ですよ、話がちょっと難しくなっちゃったので元に戻すと、このニュースの、

「劣性遺伝病」と診断された人はマイナスイメージを抱き、不安になりがちだ。

っていう部分なんですが、まさに、

「色覚異常なんかの劣性遺伝病患者が、マイナスイメージを抱き、不安になりがちだ。」

っていう意見なんですよね。
私はそうは思いません。
むしろ、

そんなことを思う人は、優性と劣性の意味が理解できてない小中学生以下の人だと思うし、
まさか本当に、「遺伝学の単語」で人間の優劣が決まるなんて思ってる人がいるなんて思ってもないし、
むしろ、「遺伝学の基礎単語である優性、劣性」を人間の優劣に置き換えて理解している人のような差別主義者のほうが、人間的には劣悪なんじゃね~の?

って思います。

っていうか、基礎単語を変えるんじゃなく、医学用語である病名のほうを変えたらいいんじゃね?って思います。

劣性遺伝病を、潜性遺伝病って変えるだけで終わりですよね?

なんで、基礎単語から変える必要があるのか、全くわかりません。

あと、基礎単語を変えたら、不顕性とか、ドミナントネガティブとかっていう専門用語の意味すらも変わってくるんですよね。。。

また、この遺伝学会の言うように、
「色覚異常」や「色盲」は「色覚多様性」とする。
ってのなんて、まさに愚の骨頂でして、正常な色覚の保有者と異常な色覚の保有者がいるがゆえに、異常な人をできるだけ正常にするために医学があるわけで、それをみんな「多様性だから治療しなくていいよ!」とかってことになると、もう本末転倒なんですよね。

色覚異常者が色を見分ける仕事についても正常に仕事できないですよね?
多様性だから色覚異常者も雇え!とかって事にはならないですよね?
雇うなら、治療なりなんなりでそれ相応の色を見分ける能力を有してから来てね!ってなるはずなんですよね。

皆さんの意見

ちなみに、この遺伝学会の改変を、わかりやすくていい!っていってる人がたくさんいます。

遺伝の「優性・劣性」など誤解を招きやすい言葉を学会が改訂「わかりやすくていい」「メタルギアソリッドの骨子が…」

科学者さんの意見はまったく違うようです。

ちなみに私の意見はこんな感じでした。

色覚異常は矯正できる

色覚異常の人でも、特殊なメガネなどをかけることで補正することができます。

ちなみにこれ。まだまだ高いですね。

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効果はこの通りです。

これが、科学の力なんです。
色を初めて見た人の感動。
音を初めて聞いた人の感動。
実はこれらが科学者への最大の賛辞だったりするんですね。

研究者ってのは、こういう、初めてを、世界で最初に見つけることのできる職なんですよね。
これがあるからやめられないのですよね。

色覚異常の人は、男性では20人に1人いると言われています。
色覚異常のある最愛の人に、この色めがね、プレゼントしてみてはいかがでしょうか?
最愛の人が色めがねでしか見れていなかった世界が一変すると思いますよ。


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