子供のほうが放射線の感受性が高いというデマ

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子供のほうが放射線の感受性が高いというデマ

2017-08-11

子どものほうが放射能に対する感受性が高い!だから、子供はちゃんと検査すべきだ!
っていうデマは、東日本大震災当初からあります。

Contents

「感受性」と「生涯リスク」は違います

このデマ、実は、「感受性」という言葉の意味と、「生涯リスク」という言葉の意味をごっちゃにして理解してしまった非専門家たちによるデマなのです。

同じ線量を浴びた場合の大人と子供を比較すると、子供のほうが長いこと生きるわけですから、「生涯リスク」は子供のほうが高いです。
(ただし、200mSv以上の線量を3か月以内に浴びたときのみ有効)

しかしながら、

同じ線量を浴びた場合の大人と子供を比較すると、放射能に対する「感受性」は、子供のほうが低いのです。
(感受性とは、ある刺激を受けてから、それが原因で何らかの影響が出るまでの時間のことです。)

今からもう4年も前のお話。
わたしはこんなメルマガを書いていました。
ご覧ください。

「給食検査とWBC検査」のおはなし 2013.7.5 発行 no.9

当時の放射線に対する市民の反応

原発の事故から二年と4か月が経ちました。
原発事故当初、原発周辺の皆さんは、地震、津波の恐怖におびえながら、未知の恐怖である「放射線」と戦いました。

放射線を浴びるとどうなるのか?
死ぬのか?
奇形児が生まれるのか?
子供が産めなくなるのか?

事故を起こした東電の説明もあいまいで、政府にも不信感がつのりました。
怒りと不安の一触即発の空気のなかでおこなわれた放射線説明会で、

「笑っていれば大丈夫。」

などと言われ、からかわれたような気分になり、怒りが抑えきれなくなった人も多かったでしょう。

山下俊一トンデモ発言

(2017.8.10 いいな注:「放射線の影響は笑っていれば来ません。くよくよしている人に来ます。」これ、実は正しいのですけどね。。。ストレスっていう意味でね。。。6年前はわからなかったかもしれませんが、今ならわかる人も多いと思います。)

「専門家のいう事は嘘ばかりだ!私たちはどうすればいいのだ!」

被災地にはこういう空気ができあがりました。

「危ないから逃げてくれ!」と懇願し、ソーラーパネルを建てると言う実業家に称賛の拍手がおこりました。

(参照:電田プロジェクト

何がどう危ないのかを知らされないまま、避難した人も多いでしょう。

3.11から半年の間に何が起こったか?

こんな空気の中、

本当の専門家は、「何も起こらない」事を知っていました。

が、言えません。

言ったら最後、袋叩きです。うそつき呼ばわりです。

専門家といわれる「科学者」はコメンテーターでもジャーナリストでもありません。
むしろ、人付き合いが下手な人が大半です。
専門用語をわかりやすく、市民の使う言葉で翻訳して喋ることなんて不可能に近いです。

人々は、「わかりやすく説明してくれる人」「危険だと言ってくれる人」を求めました。

しかし、そんな人は、本当の専門家にはごくわずかしかいませんでした。
先の動画の山下俊一氏も本当の専門家の一人でしたが、思いっきり叩かれました。

実は私もトライしました。
HOPE-Japanというプロジェクトを素人さんと一緒に行い、素人にもわかるように解説する。
こんなサイトを作ったりもしました。

http://hope-japan.tv/(リンク切れ)

私の目的は、
・科学者と市民の相互理解と意思の疎通
・本当の専門知識の共有
でした。

そこが知りたい放射線

http://hope-japan.tv/archives/category/knowledge (リンク切れ)

というページも作り、子育てママの目線から放射線を考えることもしました。

しかし、科学者の伝えたいことを、市民が理解するのにはかなりの時間がかかります。
そりゃそうです。

知識量が違うと、頭の中で描く絵も全く違います。

科学者を志した人ですら理解するのに数年かかる論理的思考を、時間の概念を、量の概念を、数か月で身につけようとしても無理なんです。

たとえ身についたとしても、今度は知識が追い付いてきません。
専門家っていうのは、世界の最先端の知識を持っているわけです。
そこに到達するには、専門家になるしかないんです。

3.11から半年の間に何が起こったか?というと、

放射線を取り扱ったことのある
「本当の専門家」は、説明しても説明しても理解してもらえず、逆に野次られ、馬鹿にされ、ついにはドンドン姿を消していきました(まあ、あれくらいの線量じゃ何も起こらないことがわかっているし、自分の研究のほうが大事なので当たり前ですね。)

いくら安全を訴えたところで、「怖い!逃げろ!死ぬぞ!」というデマには勝てません

恐怖におびえた人に、論理的に考えろ!なんて言っても無駄なんです。

そして本物の専門家は誰もいなくなります

非専門家が専門家の代わりとなった

「本当の専門家はどこにいるのか?本当の専門家が出てこないから私がやる!」

専門外の科学者が登場しました。
放射線の知識量は一般人程度です。
しかし、科学者なので英語も読めるし理解も速いです。

一般的には、本当の専門家は、専門外のことに口を出すことはしません。
なぜなら、その筋の専門家を馬鹿にした行為であり、間違った知識によってデマをばらまく可能性があるからです。
まあ、緊急性があったと感じたから専門外でも出てきたのでしょう。

当然、普通の専門家からはたしなめられます。

「早野黙れ」と言われたけど……科学者は原発事故にどう向き合うべきか
彼も、こう書いております。

私がそのころに言っていたのは「餅は餅屋である」と。私は最初に言ったように、これらの何の専門家でもありません。「餅は餅屋のはずだったのに、何で僕がいまだにこんなことをやっているんだろう。本来の餅屋はどこにいるんだろう」ということを疑問に持ちながら毎日、ただ暮らしています。

が、教授とかの地位にいる人を止めれる人なんて日本には存在しません。
たしなめたほうが逆に被害にあいます。さわらぬ神に祟りなし状態です。

そして、非専門家の人は、「放射線に関しては素人」ですので、一般人と話が合います。
説明もわかりやすいです。
多少間違えていても気にしません。
非専門家の素人同士では、たとえ間違っていたとしても、お互いに間違いに気付きません。

一般人や被災者は、東大教授という肩書きを見て、救世主が現れた!と感じたでしょう。

小学校の給食の隠善検査が始まる

事故直後、みんなが心配したことは、「食」です。

「食料は安全なのか?」

誰が放射線量を調べているのか?
政府は信用ならない。
専門家は調べているのか?
誰も調べていない!
子どもは特に感受性が高いと誰かが言っているのに、子供の食べ物も調べていないのか?
この放射線量は危険なのか?
わからない!
誰か助けて!!!

「では、私が調べましょう」

救世主の登場です。
おお!ありがたい!
住民は大歓迎です。
ということで、小学校の給食の隠善検査が始まりました。

この給食の検査、特定の学校の給食の中に含まれているセシウムを測る。というものです。

私から言わせれば不必要な検査です。

私が隠善検査を不必要だと考える理由

何故、隠善検査を不必要だと私が考えるのか?を説明します。

まず、

子供のほうが放射線による感受性が高い。

は、デマです。

非専門家の人は、
「子供のほうが細胞の増殖が速いんだから、放射線で遺伝子に傷が入ったら、早く癌化して早く死ぬ!だから、子供のほうが感受性が高い!」
といいます。
デマです。

確かに、細胞の増殖の速い子供のガン遺伝子に「傷が入れば」、早く癌化するでしょう。
しかしながら、子供は、細胞の増殖も速ければ、細胞の修復も速いのです。
だから、子供のガンが少ないのです。

子供は怪我してもすぐに治りますよね?
大人になれば怪我の治りも遅くなりますよね?
それと同じなんです。
新陳代謝が高いと、エラーも多いんですが、それを修復する力も強いんですね。

非専門家は、子供のほうが感受性が高い証拠としてよく、

原爆被爆者における固形がんリスク
のサイトの、
図2. 1 Gy被曝による固形がんの過剰発生リスクに及ぼす被爆時年齢ならびに到達年齢の影響
を出してきます。

これの右側のグラフ(過剰絶対リスク(EAR))を見て、赤線のところの、

到達年齢60歳の時の1万人当たり年Gy当たりの過剰症例数は
被ばく時年齢が10歳の点線が60人、
被ばく時年齢が30歳の線が35人となるから、
被ばく時年齢が10歳という若いときに被ばくしたときのほうが癌になる人が多いんだから、
年齢が若いほど「感受性がある」と、非専門家は結論してしまいます。

ところがどっこい!

本当の専門家は、このグラフを見て、被ばくしてから、どれだけ時間が経ってから癌になったか?
というグラフに、脳内変換できちゃうんですね。
このように。


 このグラフは、@glasscatfish さんに作成してもらいました。感謝です!

で、この図を見てすぐにわかるように、

「10歳で被ばくした人のほうが、癌になるまでの時間が長い」

って事が脳内ですぐに理解できます。
これが専門家です。

非専門家が出してくるグラフ図2. 1っていうのは、
到達年齢60歳の時の1万人当たり年Gy当たりの過剰症例数
なんです。
つまり、
10歳で被ばくしてる人は、50年間のガンの発生率を、
30歳で被ばくしてる人は、30年間のガンの発生率を見ているんです。

つまり、見ている時間が20年も違うんです。
なので、到達年齢で見ても意味がないんです。

到達年齢でわかるのは、「生涯リスク」であって、「感受性」ではないのです。

被ばくしてから同じ時間経ったときのガンの発症率を見ないと、感受性の高い低いはわからないんです。
では、専門家が「同じ時間経ったときのガンの発症率」に脳内変換したグラフをもう一度見てみましょう。

このグラフの赤い線を見ればわかるように、被ばく後30年経った後でがんの発症数を見てみると、10歳で被ばくした人のほうが30歳で被ばくした人よりもガンになった人が少ないんですね。

ようするに、若い人のほうが、放射線に対する感受性が低いんですよね。
(放射線の感受性が高くなれば、遺伝子が傷つきやすく、がんの発症率も上がる。と想定した場合。)

要するに、若い人のほうが、被ばくしてから癌になるまでが長い。
これを理解できない人が、非専門家です。
非専門家は、生物学などのデータを理解できないんですね。
データを見る力、データを読み取る力も、訓練しないとできません。
非専門家は、訓練してないんですね。

ということで、子供のほうが放射線の感受性が高い(強い)!ってのはデマです。

騙されないように。
しかも、これは、1Gy(1シーベルト)を瞬時にあびたときのグラフでして、慢性的に浴びた場合とは異なります。

なぜ、非専門家はセシウムを測りたがるのか?

ここまで理解できると、「感受性がむしろ低い」小学生の給食検査をする必要が無いことがわかります。
むしろ、老人ホームや病院などの体の抵抗力の低くなっている人を対象にして、検査をすべきですよね。

給食っていうのは、週に5回だけです。
一週間の食事の回数は毎日3回x7日の21回です。
21分の5にだけ、しかも子供だけの検査を行う意図はなんなのでしょうか。
やるならむしろ家庭の朝晩のご飯ではないでしょうか。

また、給食に出される食材は、納入業者が決まっています。
そして、事前検査されているんです。
給食の隠善検査なんて、二重検査で無駄なんですね。

そもそも、福島の農家さんから出荷され、スーパーに並ぶ野菜などはすべてにおいて、出荷前検査が行われております。
ですので、検査をするのなら、抜き打ちで、スーパーなどに並んでいる食材をランダムに検査をし、不正がないかどうかを確認する。っていうのが理にかなっていると思います。

一番問題となるのが、出荷時検査もされていない、自分の畑で採れた自家製の野菜や山で採れたキノコや山菜、山で採れたシカやイノシシの肉なわけです。
そんなものが、給食に混ざるはずはないんです。
給食検査は全くの無駄なんですね。

しかし、何故か、非専門家の指導の下、お金をかけた給食検査が行われています。
目的はわかりません。
聞いても答えてくれません。
誰か、知っている人がいたら教えてください。

私は、データを取り、論文を出し、名声を得るのが目的ではないかと邪推してます。

そして何よりも大事なことは、チェルノブイリでも、

「セシウムによる被害は報告されていない。」

という事実なんです。

数百ベクレルを毎日食べていたとしても、健康被害は起こってないんです。
健康被害がわかってるのは、「放射性ヨウ素による甲状腺癌」なんですね。
ですので、セシウムを測っても、無駄なわけです。

なにを根拠に、セシウムを計測しているのか?
もし、給食検査でセシウムが検出されたらどのように対処するのか?
わからないことだらけなんですね。

2017.8.10 いいな追記:福島の隠善検査などのデータを使用した論文が、やはり複数出ておりました。一部は、博士号を得るために使用された模様ですね。。。
福島の人をモルモットにしてデータを取るなんて、わたしにはできませんわ。。。近々、彼らの行ったWBCのデータについても書こうと思います。


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