デマはこうして作られる:実際にあったデマ編 その1

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デマはこうして作られる:実際にあったデマ編 その1

2017-08-03

デマはこうして作られる (鼻血と心筋梗塞 編)

の続きです。
( 私のメルマガ2013.5.17 発行no.2を加筆修正して掲載しています。)

Contents

今回は、東日本大震災における福一事故によって放出された放射性物質に関与し、被災者のストレスの原因となる恐怖心を煽る「デマ」を、実際にあったものを中心に紹介しながら考察していきます。

チーム中川のLNTに関するデマ

2011年3月16日に、team nakagawaは、

もっと低い放射線量では、症状もなく、検査でも分かりませんが、発がんのリスクは若干上がります。
ただし、およそ100mSv(ミリシーベルト)の蓄積以上でなければ発がんのリスクも上がりません。
危険が高まると言っても、100mSvの蓄積で、0.5%程度です。
17:41 - 2011年3月16日

とツイートしております。

このツイートのどこがデマかわかりますか?
わかった人は、ちゃんと勉強していると思います。
勉強していない人は、「東大」や「放射線治療チーム」という権威によって、信じてしまうでしょう。
このツイートのどこがデマなのか?を解説します。

寿命調査とは?

広島、長崎における原爆における被爆者の追跡調査(Life Span Study, LSS)では、原爆投下後約3ヶ月の間に被ばくした人を調査対象として、放射線の影響である急性影響晩発性影響の両方が調べられています。(現在も追跡調査は続いております)。

寿命調査からわかった急性影響

この寿命調査から、「三か月の間に200mSv以下の被ばくをした人には臨床的になんの影響もない」ことがわかりました。

要するに、少なくとも三か月で200mSv以下の被ばくであれば、急激な体調の変化などの急性被ばく症状はでない!

ってことです。

しかし、三か月の間に「200mSv以上浴びた人」には、なんらかの急性被ばく症状(めまいや吐き気など)がでたりしております。

まあ、だいたい2Svくらいの放射線を瞬時に浴びたらめまいとかがおこります。

寿命調査からわかった晩発性影響

実際の原爆における寿命調査から得られた晩発性の影響は、

短期間(瞬時~3か月)に200mSvの放射線を浴びた人は、将来ガンで死ぬ確率が、浴びてない人より1%上がる。

というものでした。

しかし、これは、50年以上前の医療水準の話です。
また、この寿命調査は原爆投下の5年後に始まった調査で、さらにガンに関してはその3年後からの調査ですので、かなりの漏れがあると思われます。

放射線防護の考え方

世界的な「放射線防護の考え方」としては、寿命調査と世界各地で起こった様々な被ばく事件などを併せて考えて、現在ではICRPの唱えるLNT仮説が推奨されています。

ICRPの提唱するしきい値無しモデル(LNT)の解説

原爆の寿命調査から、
200mSvで1%のガン死率の上昇がみられるんだから、
100mSvでは0.5%のガン死の上昇がみられるだろう。
50mSvでは0.25%のガン死の上昇がみられるだろう。
5mSvでは0.025%のガン死の上昇がみられるだろう。
1mSvでは0.005%のガン死の上昇がみられるだろう。
1Svでは5%のガン死の上昇がみられるだろう。
10Svでは50%のガン死の上昇がみられるだろう。
20Svでは100%のガン死の上昇がみられるだろう。

という比例直線を元にした「しきい値」のない「仮定」の晩発性影響のモデルのことを「しきい値無し(LNT)モデル」といいます。


しきい値がないという意味は、
たとえどんなに小さな線量0.000001マイクロSvでも、必ず癌の死亡率が上がる。
というものです。

これは、実際の臨床データではなく、仮定の数字です。

また、このLNTに用いられるX軸は、本来であれば癌での「死亡率」の上昇なのですが、「癌の発生率」や「健康被害の発生率」の上昇としている間違ったサイトが多くあります。

あくまでも、「原爆の寿命調査からわかった200mSvで1%のガン死率の上昇がみられる」以外の数値は「仮定」です。
ちなみに、日本では現在30%の人がガンで死んでいると言われています。
この仮説が正しいとすると、200mSvの放射線を瞬時に浴びたとすると、その人のガンでの死亡率は31%(平均30%とした場合)になる。ということです。
1Sv浴びると、その人のガン死リスクは35%(平均30%とした場合)となります。
現在の医療水準ではどんどんガン死率が減ってきているという現状を鑑みて、この放射線被ばくによるガン死率の上昇を多いとみるか少ないとみるか?が問題ですね。

team_nakagawa 東大病院放射線治療チームのツイートの間違い

話を元に戻しまして、team_nakagawa 東大病院放射線治療チームは、

100mSvの「蓄積」で、「発ガン」のリスクが0.5%上がる。

と書いていますよね。

ここに、二つも間違いがあります。

一つは「蓄積」。
もう一つは「発ガン」です。

LNTモデルは発がん率の上昇を示すものではない

LNTモデルは、決して、発ガンリスクの上昇ではありません

数十年前の医療水準でのガン死リスクの上昇

のモデルです。

そして、これらは、「数年の蓄積」で100mSvではありません。
短期間(瞬時~3か月)での」の被ばく影響です。

もし、仮に、50年かけて100mSvの被ばくをして、0.5%の癌が増えるんなら、日本の自然放射線の被ばく量(2.1mSv/年)で、50才になった頃には100mSv以上浴びていることになるわけで、高線量地域に住む人と、低線量地域に住む人の間に癌の発生率の差が見られるはずです。

しかしながら、現在のところ、そのような知見はありません。

生き物には修復機構がある

癌っていうのは、癌細胞ができてからすぐに癌とわかるものではないし、高齢で癌になった場合には、癌になるよりも寿命のほうが先にやってくる場合もあります。
人のからだには、修復機構が備わっていますので、その修復機構による修復が追いつかないような急激な被ばくをしない限りは、ほとんどが修復されてしまいます。
仮に、修復エラーが起こっていても、重要な遺伝子への変異であった場合なんかは、身体から排除されます。

よく例えに出すのですが、

醤油を一生かけて一升飲むのと、一升を一気飲みするのとでは、体に対する影響が異なります。

30度のお風呂に10時間浸かるのと、100度のお湯に3時間浸かるのとでは、熱量は同じでも、体に対する影響は違います。

「時間の概念」と、「量の概念」

放射線の影響を語る場合は、「時間の概念」と、「量の概念」が必要なのです。

同じ量でも、一気に浴びるのと、一生かけて浴びるのとでは影響が違うのです。

ここを間違ってしまうと、同じ100mSvでも、瞬時に浴びた時の場合か、一生かけて慢性的に浴びた時の場合かの区別が付きません。
生物学の、DNA修復などの「修復という概念」のない人は、ここが理解できないようです。

LNT仮説は生き物にはあり得ない。

よく言われるLNT(しきい値無し直線)っていうのは、ありえません。

なぜなら、「DNA修復というしきい値」があるからです。
しきい値がないっていう人は、生物のことを知らないのです。
ある一部の状態(DNA修復機構がないケース)を除き、「しきい値なし」なんて、あり得ないのです。

血を一気に5リットル失うのと、献血で三ヶ月に400mlずつ20回血を失うのとでは何が違うのか?
体に対する影響の違いを考えたら誰でもわかりますよね。

生物には修復機構があるので、修復されるような低線量放射線の影響が「蓄積する」なんてことはあり得ません。
また、LNT仮説による、「1mSvでは0.005%のガン死の上昇がみられる」なんてことは生物学的にはあり得ないのです。

チーム中川のプルトニウムに関するデマ

プルトニウムは天然にも存在する

チーム中川の中の人である中川恵一氏は、テレビのニュース番組に出演して、

プルトニウムは天然にはない!

と断言しています。

プルトニウムが天然から見つかったのは、中川氏が学生だった頃より後ですので、彼が学生の頃には、天然プルトニウムが見つかっていなかった可能性があります。
なので、彼の情報が古い可能性がありますね。
専門家を称するなら、新しい知識を常に仕入れるべきですね。

プルトニウムは遠くまで飛ぶ

彼は、プルトニウムは重いから遠くへ飛ばない!

とも断言しています。

プルトニウムとは 専門家解説

動画は削除されております。
アナウンサー:一般市民、私たちの生活にはどんな影響があるんでしょうか?

中川恵一氏:はい、これはありません。この物質は非常に重いんです。ですから、ヨウ素のように飛散していくことがありません

しかしながら、プルトニウムも遠くまで飛びます。

プルトニウムは重いから遠くへ飛ばないっていう彼のデマには、彼がこれを勘違いしたのかな?という論文がありまして、そこには、
「プルトニウムは重いから、他の金属核種(例えばセシウム)に比べて」遠くに「飛びにくい」
と書いてあります。 

Hirose, K., M. Aoyama, P. P. Povinec, Concentration of particulate plutonium in surface and deep-water samples collected during the IAEA’97 expedition, Deep-Sea Research, 50, 2639-2647, 2003.

Hirose, K., Y. Igarashi, M. Aoyama, C. K. Kim, C. S. Kim, B. W. Chang, Recent trends of plutonium fallout observed in Japan: Plutonium as a proxy for desertification, Journal of Environmental Monitoring, 5, 302-307, 2003.

中川さんは、どっかからこの話を聞き、知ったかぶりをしたのでしょう。

チーム中川のヨウ素に関するデマ

放射性ヨウ素の入った水は煮沸したら濃縮する

彼は、ツイッターで

放射性ヨウ素の入った水は煮沸すればヨウ素は抜けると思う。

とも発言しております。

実際は、水に入ったヨウ素を、煮沸すると「濃縮する」ので、危険度が増します。
当時、赤ちゃんのミルクを作るための水の情報を探していて、中川さんを信じて、「煮沸して濃縮した放射性ヨウ素」を乳幼児にミルクとして飲ませたお母さんも多かったでしょう。

ちなみに、私はツイッターでツッコミ入れてます。
(私の古いツイートがツイログにも保管されていないため、私の2011年のツイートを集めたbotの @117gogoから引用してます。)

チーム中川はこの放射性ヨウ素に対する発言については、「間違っていた」ことを認め、謝罪しております。

https://twitter.com/team_nakagawa/status/50715646211792896 ←なぜかリンクが形成されないので写真で掲載

専門家と言われている人が発するデマは酷い

東日本大震災で発せられたデマの中でも特に酷いのが、

専門家と言われている人が発するデマ

です。

当時の混乱していた時期に、放射線に対して全く知識のない人は、
「見えない未知の恐怖」
と戦っていました。

唯一の希望の光が、専門家の発言でした。
何も知らない人は専門家と言われる人を信用するしかない、頼るしかない存在でした。

この専門家が、
「放射性物質を取り扱ったことのある本当の専門家」
ではなかったら、デマをまいていたとしたら、そりゃあ、一般人は疑心暗鬼になりますよね。

こういう、「本当の専門家の信用をなくすような自称専門家のデマ」が、市民の不信感を呼び、「専門家は信じられない」という風評被害となったわけです。

一見専門家に見える人のデマのなにが酷いかっていうと、

その人が言っているのはデマだよ!」って言っても誰も信用しないし、むしろ、「デマだよ!」って事実を言った人がデマ扱いされること

です。
そして、言葉が独り歩きしていき、デマが知れ渡り、それが事実だとみんなが認識してしまうことです。
こうなると、もう修正は容易ではありません。

ちなみに、 13万人ものフォロワーがいる東大病院放射線治療チーム‏ @team_nakagawa がフォローしているアカウントは3つのみ。

一つは、東大名誉教授の早野龍五氏 @hayano ‏そして、 朝日出版社 第二編集部 @asahipress_2hen、そして、buvery氏 @buvery です。

以下、私の勝手な根拠のある予測による妄想

buvery氏は岐阜大学 大学院医学系研究科 准教授になられた松田修二氏だと思われます。
彼らは、東日本大震災直後、放射性物質の影響についてのツイートや出版などを(政府系からの依頼により?)担っていたのだと推測されます。
buvery氏については、広島大学の内匠研究室出身で、原爆の放射性物質つながりであると私は予測しております。
同時に安東量子さんこと鎌田陽子さんも、広島大学出身で、buvery氏とは知り合いであり、福島のエートスなどを早野氏、buvery氏と共に作り上げております。
この3つのアカウントは中川氏同様、放射線に関しては素人でして、buvery氏に関しては、生物学に関しても素人です。
(buvery氏は以前、私とのやり取りで、生物学の基本すらも間違えていたことを複数の生物学者さんが確認しております。)
また、ICRPの勧告に彼らの活動などが掲載されたり、本場のエートスのロシャール氏が来日して福島のエートスを見学したりするなど、政府との非常に強いつながりを持っていたりします。
しかしながら、彼らはデマを流している可能性が非常に高く(いくつかのデマは確認している)注意が必要だと、私は思います。

以上、妄想終わり。

長くなりましたので、続きは「デマはこうして作られる:実際にあったデマ編 その2」に書きます。


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