サルでもわかる自民党の憲法改正草案 その1 (憲法第9条のお話)

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サルでもわかる自民党の憲法改正草案 その1 (憲法第9条のお話)

2017-07-31

注意事項:私は生物学はかじっていますが、憲法学者じゃありません。
ものごとを時系列などをもとに整理して論理的に考える訓練はしてきましたが、あくまでも、「私が思う」論理的な解釈をしているだけなので、「ふぅん。」くらいの気楽さで読んでください。
また、間違いなどがありましたら、その旨教えていただければ随時改定していきます!

Contents

自民党の憲法改正案はやばい?

戦争法案反対!
子供を戦地に送るのか!
基本的人権がなくなる!

仮に、本当に日本が戦争をし、子どもを戦地に送り基本的人権がなくなるような国になったら、あなたはどうしますか?

たとえ祖国であっても逃げだす準備をしますよね?

ジャーナリストの岩上安身さん @iwakamiyasumi は、上記の動画(「憲法から基本的人権を削除した」と発言する自民党の礒崎陽輔氏の動画)を見て、

「本当に背筋が寒くなる。磯崎、まずは自分と自分の家族の基本的人権を返上して、手本を示してくれ。人権のない状態を教えてくれ。国民はそれから考える。
6:59 - 2017年7月29日

とツイートしております。

自民党の憲法改正案は、基本的人権が削除されている!!!???

自民党の出した憲法改正草案は本当にそんな野蛮なことがなされているのでしょうか?

今回も、私のメルマガ「サルでもわかる自民党の憲法改正草案」2016.7.8発行 no.157を加筆修正しながら、時系列を追ってみていきたいと思います。

「サルでもわかる自民党の憲法改正草案」2016.7.8 発行 no.157

日本国憲法はGHQの指導によって作られた

そもそも、現在の日本国憲法というのは、GHQの指導によって作られました。
これはたくさんの人が知っていることですね。
簡単に紹介すると、日本は戦争に負け、GHQのマッカーサーさんに、

そもそも憲法が悪いんだから憲法変えろよ!

といわれます。

そこで、1945年10月25日から、当時の国務大臣であった松本烝治さんが極秘で憲法問題調査委員会を設置します。
この委員会で憲法の草案を作ることになります。
松本さんは日本のことを考えて、日本のための憲法を着々と作りだします。

毎日新聞がこの極秘任務をばらす

しかし、1946年2月1日に毎日新聞がこの極秘任務をばらしちゃいます

松本委員会の憲法改正作業は厳重な秘密のうちに進められていたが、2月1日、『毎日新聞』第1面に突如「憲法問題調査委員会試案」なるスクープ記事が掲載された。
これは正確には、松本委員会の内部では比較的リベラルな、いわゆる「宮沢甲案」にほぼ相当するものであった。
しかし、毎日新聞が「あまりに保守的、現状維持的」としたのをはじめ、他の各紙も、政府・松本委員会の姿勢には批判的であった。
この『毎日新聞』によるスクープ記事は、GHQが日本政府による自主的な憲法改正作業に見切りをつけ、独自の草案作成に踏み切るターニング・ポイントとなった

日本国憲法の誕生より、一部抜粋

連合国側で作った草案が基になる

この毎日新聞にスクープされた憲法草案の内容をみて、マッカーサーは激怒

連合国側で勝手に日本国憲法草案を作りだします。

当然、出来上がった松本さんの草案は却下され、連合国側で作った草案が基となり、日本国憲法が作られます。
毎日新聞、なにやってんだよ。。。
まあ、今もダメですが、当時からダメだったんですね。。。

日本国憲法の違和感

現在の日本国憲法を見ても、日本が作ったんじゃないなってところがたくさんあります。

たとえば、憲法において一番重要な基本理念の書かれている憲法前文をみると、

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」

とかかれています。

諸国の民を信用することで、安全と生存を保持します。

ってことです。

「われら」とは日本国民の事なので、諸国民とは「日本以外の国の民」のことです。
なので、

「日本人を信用して」ではなく、日本以外の「外国人を信用して」

という意味です。

要は、

安全とかは自分で守るな。アメリカとかの諸国に任せろ。

ってことですね。

戦争であれだけ日本の存続のために戦った日本人がこんなこと書くわけがないですね。。。

しかも、日本語もおかしいですね。

「平和を愛する諸国民の公正と信義信頼して」

って、どういう意味でしょうね?

日本語なら、

「平和を愛する諸国民の公正と信義信頼して」

ですよね。

前文からして、日本人が作ったものじゃない感がバリバリなのですね。

まるで、英語を自動翻訳しました!みたいな。。。

まあ、憲法全体を通して、これ日本語?っていうところや、なんで日本が主語じゃないの?ってところがたくさんあるのが現在の日本国憲法なわけです。

なので、

戦後70年も経って、世界もガラッと変わったんだから、もっとわかりやすい日本語で書かれた憲法に変えていこうよ!

ってことで作られたのが、自民党の憲法改正草案なわけです。

憲法第9条改正案

では、まず、みんなが知りたいと思っている憲法9条から、どういう問題があって、どう改正しようとしているのか?を見ていきましょう。

憲法前文と9条の関係

現在の憲法第9条は

第九条 (平和主義)
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。

となっています。

この第9条の大きな問題は、9条そのものではなく、憲法の前文にあります。

憲法前文には、先ほども触れたように、

平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

と書かれているわけです。
これをわかりやすく言うと、

世界のすべての国々が平和を愛しているので、世界の国々が常に公正で、日本に嫌がらせなどをしないことを信じて、日本の安全保障を考えることに決めました。

となります。

これが、憲法の基本理念なわけです。

その基本理念を基に、憲法第9条は作られています。
なので、憲法9条をわかりやすく言うと、

「(世界の人々が平和を愛しているし、日本に敵対行為はしないから、)戦争も武力行使も永久にしません。
(世界の人々が平和を愛しているし、日本に敵対行為はしないし、必要ないから)、陸海空軍その他の戦力は持ちません。」

となっているんですね。

でも、日本は自衛隊を持っちゃってます。
なので、憲法違反です。
明らかに、戦力を持っちゃってますもん。
憲法違反です。
第九条に違反してます。

日本に自衛隊がある理由

では、なんで日本は自衛隊という戦力を持っちゃったのか?

答えは簡単です。

朝鮮戦争があったからです。

戦後、日本はGHQの統治下におかれ、アメリカ軍が日本を守っていました
日本の領地であった朝鮮半島は没収されます。
次に朝鮮半島を支配する権利を得たのはソ連とアメリカです。
ソ連は北朝鮮を擁護して北から大韓民国を自分の領地にしようと侵攻します。
アメリカは大韓民国を擁護して南から、北朝鮮を自分の領地にしようと侵攻します。
これがいわゆる朝鮮戦争です。

朝鮮戦争が始まると、日本に8万人いたアメリカ兵が朝鮮戦争に行くことになります。
すると、日本の治安を守る人がいなくなります
そこで、GHQは、日本に、日本人で警察予備隊を作るように指示します。

そしてその後、日本国とアメリカ合衆国との間で相互防衛援助協定が結ばれます。
この協定は、

アメリカが地域における安全保障を維持する為に、日本の国土に米軍を配置することを認め、さらに、日本は「自らの防衛に責任を果たすよう義務付けられ防衛の目的でのみ再軍備する事を認める。」

というものでした。
こういう経緯で、警察予備隊は、アメリカの指示によって、自衛隊となったのでした。

なので、自衛隊は防衛以外できません。
けども、戦力なわけで、憲法違反です。
アメリカの作った日本国憲法を、アメリカ人が破っちゃったわけですね。。。
これも不思議な話です。

自民党草案での前文の変更点

こういう経緯により、自民党草案では、

実際に中国は尖閣に攻めてきてるし、
北朝鮮は核を撃つかもしれないし、
バングラディッシュに貢献するために現地に行った人はテロに巻き込まれて殺されるし、
外国が日本に敵対しないなんてありえないし、
世界の人々が平和を愛しているわけじゃないんだから、
他国を信用して、

「世界の人々が平和を愛しているし、日本に敵対行為はしないから」

なんて時代錯誤な考え方はやめましょう。

ということで、前文を

(前文)
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴いただく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

と、変えています。

日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り

とし、他国が優しいからそのご厚意で平和にしましょう。
という受け身から、
自分の国は自分で守ろうよ!
と前文を変更しているのです。

自民党草案での9条の変更点

そして、憲法第9条はどうしようとしているか?ですが、

第九条(平和主義)
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない


前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

第九条の二(国防軍
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する


国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。


国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。


前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。


国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。
この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

第九条の三(領土等の保全等)
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

と変えようとしています。

現行憲法は、戦争、武力行使を禁止していますが、自衛権の行使と、国際機関による制裁措置(つまりは国連による制裁)は禁止していません。
なので、

戦争や武力行使はしないけど、自衛権は発動できるし、国際平和を希求するための制裁には参加できる

としています。

しかし、戦力を持つことを禁止しているので、自衛権の行使はできません。
国際機関による制裁措置への参加もできません。
っていうか、する戦力がありません
本来ならば。

しかし、日本には自衛隊があります。
現行憲法の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」は、自衛隊がすでにあるので、すでに憲法違反となっているのです。
なので、現代の時代に合わせるために、

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」

削除されております。

これを削除しない場合、自衛隊は違憲なので、解体するしかないです。

そして、第九条の二では、自衛隊を「国防軍」と位置づけ、国の防御のための軍にしようとしているわけです。
国防軍になったからといって、今までの自衛隊と職務は何ら変わらないので、戦争に行けるようになる!とかいうのは間違った解釈です。
明らかに、憲法違反である自衛隊を、憲法違反じゃないものにするための改正であり、戦争法案ではありません

自民党草案が戦争法案ではない理由

国防軍が参加できる活動は、

1.我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するための活動
2.国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動
3.公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動 (治安維持や邦人救出、国民保護、災害派遣などの活動。)

だけです。

第九条の三では、領土等の保全等について書いてあります。
これは、現行憲法の前文の、
「日本は他国の信頼により守ってもらおう!」っていう他力本願なことじゃなくて、

「国を自ら守ること、国が国民と協力して領土等を守ること」

を規定しています。

まあ、いままでなかったのが不思議なぐらいの当たり前のことですね。

というわけで、70年前の時代錯誤な憲法を、今の時代の常識に変えちゃおうよ。ってのが、自民党の改憲草案なわけです。

ちなみに、

世界にも類を見ない平和憲法である第九条は日本の宝だ!変えてはいけない!

って言っている人も多数おられますが、実は、

世界182の成典化憲法のうち149ヵ国81.9%)の憲法、1990年以降に制定された84ヵ国の憲法のうち82ヵ国97.6%)に、平和主義条項(平和政策の推進・国際協和・内政不干渉・非同盟政策・中立国家・軍縮・国際紛争の平和的解決・侵略戦争の否認・テロ行為の排除・国際紛争を解決する手段としての戦争放棄・自衛以外の軍隊の禁止など様々)が盛り込まれている。
他国の憲法の櫻井よしこ SAPIO 2006/2/22の部分 より一部抜粋

というのが現状のようで、日本唯一のものなんかじゃありません

その2は、基本的人権のお話です。
次回に続く


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コメント


  1. サカタ

    賛同です、判り易い記事です。

    自衛隊は小林節氏のような憲法学者が現行憲法では違憲と言うのは当然で、その視点で見れば戦力不保持の削除で合憲性を得ることになると思います。「戦力保持が合憲=戦争ができる=戦争憲法」という解釈は短絡かつ歪んでます。

    Reply



  2. 日本を誇りに思う者です

    憲法9条
     1項 日本は他国を侵略したり、他国の人に危害を加えたりしない。
     2項 日本を侵略したり、日本人に危害を加えたりする国とは、徹底的に戦う。
    と、変えればよいと思う。

    Reply


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