エンゲル係数ってなに？

2018-02-02

2018年1月31日の予算委員会で、民進党の小川参院議員会長が、アベノミクスが始まってからエンゲル係数が上がり、国民の生活は苦しくなっている。と指摘しました。
はたして本当なのでしょうか？

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エンゲル係数とは

エンゲル係数とは、ドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルさんが1857年の論文で発表した1世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合（パーセント単位）のことです。

要は、

生命維持をするために食料を買うお金が増えると、エンゲル係数が高くなる。そしてそれは嗜好品などにお金が回せなくなるということなので、生活水準が低いってことになる

というものです。

日本はエンゲル係数が上がっているのか？

民進党の小川参院議員会長の指摘

先日の予算委員会ではアベノミクスが始まってからエンゲル係数が上がっていると、民進党の小川参院議員会長が指摘しました。

参院予算委　アベノミクスの問題点を追及

2018年1月31日 12:50

アベノミクスで国民生活は豊かになったのか。
３１日の参議院予算委員会で民進党の小川参院議員会長は、国民の生活は苦しくなっていると追及した。
小川議員は、アベノミクスが始まってから家計の消費支出の中で、食費の割合を示す「エンゲル係数」が上がっていると指摘した。
小川議員「国が行った調査で、エンゲル係数が上がってる国民の生活は苦しくなっている。これがアベノミクスの実質じゃないですか」

安倍首相「厳然たる事実の一つは、やはり働く場所があるということだろうと思います。４７すべての都道府県において（有効求人倍率が）１倍を超えた、これは高度経済成長期にも、あるいはバブル期でもなかったことでありました。それはやはり、この景気回復の波が全国津々浦々に及んでいるということであります」
安倍首相はこのように、有効求人倍率が上がったことなど成果を強調した。
（略）

この質疑応答では、質問者の小川氏と回答者の安倍総理の話がかみ合ってないように思われますね。
普通の人だと、

安倍総理はきちんと質問に答えてないじゃないか！はぐらかしだ！

って思っちゃうんです。

でも、実際は、安倍総理はきちんと回答してるんですよね。
なぜなら、

エンゲル係数によって国民の生活が苦しくなっているかどうかは判断できないから、きちんと国民の生活の状態がわかる有効求人倍率で総理は答えた。

ということなんですね。
要は、質問者の質問が悪いってことになります。

食べ物の値段の上昇

実際のエンゲル係数は、2000年22.7％から2016年26.2％と、上昇しております。
しかしこれは、

食べ物の値段（物価）が上がっているので、エンゲル係数が上がっただけ

なんですね。
参照：http://blog.livedoor.jp/blackwingcat/archives/1962883.html
このブログには、物価指数を反映したグラフが載ってます。
これによると、エンゲル係数はほとんど横ばい状態だということがわかります。

生活スタイルの変化

当時のヨーロッパの価値観や戦後すぐの日本の価値観では、
エンゲル係数の上昇＝生活に困っている人の増加　
だったわけですが、現在の価値観でエンゲル係数の高い低いだけを語るといろいろとおかしいことになってきます。

日本の戦後のエンゲル係数は1947年63.0％、1948年60.4％と、60％を超えていました。
これは、本当に食べ物がなくて、収入のほとんどを生きるための食費として使用していたからですね。
これが、高度成長期時代に入り、どんどんとエンゲル係数は減っていき、現在では20％代となっております。
日本では特に、食に困るような人が減ってきたってこともありますね。

また、自分へのご褒美として、月に一度は贅沢をして美味しいものを食べる人が増えたりとか、歓送迎会でもちょっと高いけどおいしいお店に行く人が増えたりとか、良質な家電製品の出現で買い替えが減ったのでそのぶん食費にまわせたりとか、安いお米の代わりにお肉を食べる人が増えたとか、健康維持のために高い食品をあえて買うとか、インスタ映えのために高いスイーツを食べるとかっていういろいろな理由でエンゲル係数が上がるってこともあります。

逆もありまして、ダイエットのためにサプリにはお金をかけるけど食事にお金をかけないとか、高級品を買いたいから食費を切り詰めてエンゲル係数を下げる。なんてこともあります。

エンゲル係数ってのは、中学校の三年生の公民で習うと思います。
みんな、　エンゲル係数が高い＝貧しい　という解釈を学びます。

しかし、ウィキにすら、