老後の年金が2000万円足りないって本当?
2019-06-14
2019年6月3日に、金融庁の金融審議会が「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を出しました。
この報告書は、
95歳まで夫婦で暮らすと年金だけでは資金が2000万円不足する!
というものでした。
これに対して、年金は100年安心じゃなかったのか!!!っていう声が多数出てきており、大炎上となりました。
果たして本当に年金は破綻してしまって、老後は年金だけでは暮らしていけないのでしょうか???
Contents
年金とは?
そもそも年金とは何なのか?を簡単に説明します。
私的扶養
昔から日本は大家族が当たり前でして、親の面倒は子供が見てました。
親が働いて、子供の面倒を見て、子育てをし、子供が育つと今度は子どもが働いて、親を養っていたのです。
これを私的扶養って言います。
社会的扶養
しかし、戦後、若い人は都会に働きに出ることが多くなり、親の老後の面倒を見てくれる人がいなくなってしまったのです。
こうした社会背景があり、国が老人の面倒を見る仕組みを作りました。
これを社会的扶養と言います。
つまり、若い人がみんなで老人の面倒を見ましょうね!ってものです。
ちなみに、年金は義務付けられていますので、逃れることはできません。
自分の親は自分で面倒見るし、自分の老後は自分で面倒を見るから年金を払わない!っていうのはできません。
なぜなら、子供のいない老人の面倒も、社会の一員としてみる必要があるからです。
私的扶養は、その人の財力や健康状態などに左右されますが、それだと若い人の負担が不均一となってしまうため、負担を均一にするために社会的扶養ができました。
年金は主にこの社会的扶養のことを指します。
厚生年金は、国民年金にプラスして公務員や会社員がより多くの年金をもらえるようにかけているものです。
厚生年金に入っている人は、基礎年金(国民年金)+厚生年金がもらえる仕組みとなってます。
会社員じゃない人は国民年金基金に加入すると、基礎年金(国民年金)+国民年金基金がもらえる仕組みとなってます。
年金は積立方式ではない
結構誤解している人がいるのですが、年金は「積み立て方式」ではありません。
毎月4万円x12か月x40年間=1920万円を積み立ててタンス貯金しているわけじゃないのです。
積み立てた1920万円を65歳から死ぬまで、例えば90歳までの25年間、毎月6.4万円もらえるってことじゃないのです。
年金は賦課(ふか)方式
実は、毎月払っている年金は、今現在の老人に対して使われているのです。
なんでかっていうと、今の時代にあったお金の価値を考えて年金を老人に配っているからです。
1920万円積み立てても、日本円の価値が下がって、実質1000万円の価値になっちゃったら、老後は暮らせないかもしれないので、今の価値にあわせた相場で支払っているのです。
例えば、40年前はパン一個が30円とかでした。しかし、今では一個が150円とかになってますね。
1920万円貯めてても、実際は400万円くらいの価値になっちゃうこともあるわけですね。
なので、今の価値相場に見あった金額を配る賦課方式(+積み立て方式のいいところ)が採用されています。
少子高齢化で賦課方式なら若い人が支払うお金はどんどん増えていくの?
今現在、私たちが支払っている国民年金が今の老人に支払われている賦課方式であるならば、これからどんどん少子高齢化が進んで老人が増えたら、若い人の支払う年金は増えるのか?って、疑問が出てきますよね?
子供一人が老人6人を養う。とかになったら、給料の半分くらい国民年金で持っていかれちゃわない?って思いますよね?
実は、平成15年まではその考え方だったのです。
しかし、平成16年に抜本的に制度が見直され、支払う年金の上限が固定されました!
なので、どんだけお年寄りが増えても、支払う年金は上限よりは増えません。
年金100年安心プランとは
平成16年の抜本的な改革には、「100年後の予測」が使われました。
100年後の少子高齢化を予測して、5年に一度、年金の支払い率を変えて、「100年は年金の精度が続く、『年金100年安心プラン』」ができたわけです。
ちなみに、5年ごとの財政の検証は、平成16年、平成21年、平成26年、令和元年(平成31年)となっております。
実際、どれくらいもらえるの?
現在、『年金100年安心プラン』では、少なくとも平成16年から100年の間は、モデル世帯の平均手取り収入の50%を維持できる。ということになっております。
たとえ老人の人口比率が50%になって、15歳以下が10%になってもです。
この平均収入の元となるモデル世帯とは、「夫が40年間厚生年金に加入していて現役世代の平均額を稼いでおり、嫁が20歳で結婚し40年間国民年金に加入している世帯」となってます。
このモデル世帯と同じ人の場合、モデル世帯が稼いだお金の半分が毎月もらえる。ということです。
少子高齢化なのに、本当に年金は維持できるの?
実際、若い人の人口が減っているので、国民年金の収入は減っています。
で、その減った分を補っているのが、今まで積み立ててきた年金と、それを運用して得た利益(44兆円くらいの黒字)とか、消費税とかです。
年金でもらえるお金の種類
上で書いたものは、老齢基礎年金のお話です。
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方に対して、65歳から満額の老齢基礎年金が支給される。
というものです。
実は年金って、これだけじゃないのです。
ケガをして障害を負ってしまって働けなくなった人には、障害基礎年金というものがもらえます。
これは、国民年金に加入している間(20歳前でも入る予定のある人を含む)に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受け、一定の障害の状態にあるともらえます。
未成年でももらえますので、これはうれしいですね。
また、
国民年金を支払っている配偶者が死んじゃったら遺族基礎年金がもらえます。
これらは、日本人が安心して暮らせる制度ですので、年金は支払っておいた方が断然お得だと私は思います。
年金を支払ってなくて、障害を負って働けなくなったけど障害基礎年金がもらえない!なんてことになったらつらいですしね。
老後の年金が2000万円足りないって本当?
さて、年金の基礎を学んだところで、今回大炎上している件を見ていきましょう。
2019年6月3日に、金融庁が「95歳まで夫婦で暮らすと年金だけでは資金が2000万円不足する!」というニュアンスの報告書を出しました。
人生100年時代、2000万円が不足 金融庁が報告書
野党は、「年金100年安心プラン」は嘘だったのか!と息巻いております。
年金100年安心とは何だったのか?報告書で嘘露呈に怒りの声
麻生さんは、報告書を受け取らない!といって、また大炎上をしております。
実際、どういう報告書だったのか?ですが、「老後に2000万円不足」騒動、金融庁の欺瞞とマスコミの大間違いという記事を見てもらったらすぐにわかりますが、要はこの報告書は、
今現在の老人の収入は大半が年金で約21万円。
でも、支出は約26万円。
現在の老人は、娯楽費として「貯蓄から」5万円以上毎月使っている。
ということが書かれております。
実際に、2018年の金融広報中央委員会による調査では、世帯主70歳以上の世帯の平均金融資産保有額は1780万円(中央値は700万円)となってます。
要するに、
年金20万くらいもらって、さらに貯金が700万以上あるから、今の老人の大半は悠々自適だよ~
ってことなのです。
で、この報告書には、
今の若い人らもこの悠々自適な生活をしたいんなら、年金だけじゃ2000万円不足するから、今のうちから資産運用したら?
ちょうどいい商品があるよ!NISAやiDeCoっていうんだけどさ!
って、商売につなげようとしているのですね。
そりゃ、こんな報告書だされたら麻生さんも無視するよね。。。
ってわけで、今回の年金だけじゃ2000万円不足!ってのは、またもやマスコミのミスリード、フェイクニュースでした。。。
年金2000万足りない!ってのは、老人は月に20万の年金貰ってるけど、娯楽費に5万以上使ってる (金銭的に余裕がある) から5万円足りない!その分も出せや!って老人が言ってるだけなので、無視でok。
これで年金払わない!とか言ってる人は情弱で先見の明がないだけ。— いいな (@iina_kobe) June 12, 2019
ブログでまとめようとしてたらすでにまとめられていた。。。
要するに、2000万貯蓄が必要!はデマです。老人は平均2000万円の遊ぶための貯蓄がある。というのが正解です。(中央値は700万円)
https://t.co/w552rM4U13— いいな (@iina_kobe) June 13, 2019
2009年の民主党「民主党が政権をとれば絶対壊れない年金制度になります」 こいつら何してたの|保守速報 https://t.co/Uzyx9xvmUY
— いいな (@iina_kobe) June 12, 2019
参考:いっしょに検証!公的年金