生命ってなに?
2017-09-14
♪ぼくから見れば小さなカメも アリから見ればきっと大きなカメかな?
みんな同じ生きているから 一人にひとつずつ 大切な命♪
Contents
いのちってなに?
冒頭の歌は、イルカさんの名曲、「まあるいいのち」の歌詞の一部です。
いやあ、いい曲ですね~。
地球には生命が満ち溢れいています。
皆さんも一度は
いのちはどうやってできたのかな?
って考えたことがあるんじゃないでしょうか?
不思議ですよね。
でも、自分で考えてもわからないから、疑問に思いつつも考えるのをやめているんじゃないでしょうか?
では、私と一緒に、いのちがどうやってできたのか?を見ていきましょう。
いきもの の定義
生命とはなにか?
大学の生物学科で私のならった生物の定義とは、
1.代謝する
2.外界と自分を区別する境界を持つ
3.自己を複製できる。
です。
う~ん、いきなり難しい!
まあ、大学の授業ですから、難しいです。
では、解説していきます。
代謝する
まず、代謝(たいしゃ)するっていう意味ですが、
辞書を引くと、
生命の維持のために有機体が行う、外界から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う一連の合成や化学反応のこと
って、難しい言葉で書いてあります。
要は、
栄養を取りこんだり作ったりして、それを使って活動するエネルギーを創りだせる。
って事です。
このエネルギーを使って、身体を維持したり、大きくなったりするわけですね。
これは、代謝じゃなくて大佐
外界と自分を区別する境界を持つ
二つ目の条件が、外界との区別をもつこと。
外界と区別を付けないと、いきものじゃないです。
空気とか水とかと混じってしまうと、どこがどこまでがその生き物なのか?ってのがわからないわけですね。
スライム状の生き物でも、ちゃんと外界との境界を持っていますよね。
なんでもいいから、自分と外との物理的な境界線を持っているってことですね。
「こっから入ってくるなよ!オーラ」とか、千と千尋の神隠しの「えんがちょバリア」とかは、物理的な境界線じゃないので、この場合の境界線にはあたりません。
エヴァの「ATフィールド」は精神的な境界を物理的に作り出した特殊なものなので、境界かもしれません。
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自己を複製できる
自己複製するっていうのは、子孫を残していける機能がある。
ということですね。
分裂によって次の世代を作ったり、子供を産んだりしながら、その生き物の遺伝情報を後世に伝えていけるってことです。
これはマリオの無限増殖の方法
必ず死ぬは生物の条件?
生物学者さんのなかには、
「生き物は必ず死ぬのだから、それも生き物としての条件だ。」
という人もいます。
しかし、例えばプラナリアなんかは、体をちぎることでそこから個体がどんどん生まれてくるわけで、永遠に死なないわけですよ。
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大きくなってはちぎれ、ちぎれたらそこからまた頭としっぽが生えてきて個体になって。。。というふうに増えていくわけです。
そりゃ、熱湯に入れるとかすれば物理的には死ぬわけですが、死なずにどんどん子供?というか、クローンを作っていけるわけです。
なので、生き物は必ず死ぬ。
というのは、生き物の条件としてはちょっと違うかなぁ?って思います。個人的に。
星は生物?
よく、
ウイルスは生物ですか?
って質問をされるのですが、ウイルスは基本的に他の生物に寄生して代謝するし、自己複製も他の生物の力を借りて行いますので、定義的には生物ではないのです。
そして、生物っぽくない生物候補としては、「星」が挙げられます。
星ってのは、地球とか太陽とかの星です。
よく、ガイア理論とかって言われるんですが、そういう意味ではなく、生物としての条件である
1.代謝する
2.外界と自分を区別する境界を持つ
3.自己を複製できる。
を星はちゃんと持ってるんですよね。
まあ、生物の条件なんてものは人間が考えたものであるので、そもそも間違っているのかもしれませんけどね。
生物の条件は、シャア大佐と、ATフィールドと、マリオの無限アップと覚えておくと間違いないです!たぶん。
生物の起源はなんだろう?
生物の起源はなんでしょうか。
これは古代からの謎です。
今でも謎です。
100%正解のものはありません。
タイムマシーンで過去にさかのぼってみないと本当のところはわかりません。
神が生き物を作ったという創世神話説、宇宙人が作ったという説、進化説などいろいろな仮説があります。
たくさんの学者さんが生命の起源を探しました。
自然発生説
生命の起源に関する最初の学説はアリストテレスが唱えたものだと言われています。
紀元前4世紀ころのアリストテレスは、様々な動物に関して詳細な観察や解剖を行い、
「生物は親から生まれるものもあるが、物質から一挙に生ずるものもある」
と考えました。
これが、生き物の自然発生説です。
アリストテレスは、ミツバチやホタルは草の露から生じると考え、それを本に記しました。
16世紀に入ると、パラケルススとヘルモントは、
「ネズミ・カエル・ウナギなどは、泥などの生き物じゃないもの(無機物)から発生する」
として、その作り方を示しました。
まさに錬金術ですね。
植物からいろいろな動物が生まれてくる。
という説を唱えた人もいました。
生き物は卵から生まれる?
17世紀くらいになると、医療が発達してきます。
火傷をした後、放っておくとウジがわくのも、肉が腐るとウジがわくのも、水などの「生き物じゃないもの(無機物)」からの自然発生だと思われていました。
ところが、あるお医者さんが気付きます。
「ウジが湧くとき、ハエが飛んできてるよね??」
と。
彼の名は、フランチェスコ・レディ。
イタリア人の外科医さんです。
彼は簡単な実験をします。
2つのビンの中に、同じように魚の肉を入れました。
一方のビンはふたをせず、もう一方のビンは布で覆ってふたをしました。
そのまま、数日間放置しました。
すると、ふたをしなかったビンにだけ、ウジがわいたのです。
レディさんは、
ハエが飛んできて、卵を産み、その卵からウジがうまれる。
ということを証明したのです。
顕微鏡の発見
この17世紀には偉大な発明がありました。
イギリスのロバート・フックさんが顕微鏡を作りました。
フックの作った顕微鏡
彼は、その顕微鏡で、コルクに小さなたくさんの穴があいていることを見つけます。
これが、植物の細胞壁の発見でした。
そして、ノミなどを観察し、「ミクログラフィア」という本にして1665年に出版しました。
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それから7年後の1671年、ロバート・フックさんの作った顕微鏡よりも、高性能な顕微鏡を作った人がいます。
オランダの織物職人のアントニー・ファン・レーウェンフックさんです。
彼は、科学者でも何でもないアマチュアで、趣味で非常に高性能な顕微鏡を作っちゃいました。
見た目はしょぼいけども、彼の高性能な顕微鏡は、小さい小さい肉眼では見えない生物がいることを発見します。
これが、微生物の発見でした。
彼の顕微鏡はそのほかにも、
・人間の皮膚は小さな部屋で囲われたものがつながってできていること(細胞の発見)
・腐敗や発酵のようによく知られた現象は自然に起きているのではなく、微生物が関与していること
・赤血球や精子という細胞があること
などを見つけ、生物学に、「見えなかったものが見えるようになるという革命」をもたらしたのです。
微生物にも卵はあるの?
フランチェスコ・レディさんの、ビンのふたを開けっぱなしにするのとしないのとの実験によって、ウジ虫はハエの産んだ卵から生じることはわかりました。
でも、それよりももっと小さい、顕微鏡でしか見えない微生物にも卵はあるの?
それとも、アリストテレスが言ったように、小さい生き物は自然から発生するの?
科学者たちはこの疑問を解明しようとします。
たくさんの議論がわきあがりました。
微生物は微生物からしか生まれない
1861年、「自然発生説の検討」という本を出して、アリストテレスの唱えた「自然発生説」を否定した生物学者が出てきました。
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彼の名はパスツールといいます。
パスツールさんは、
1.フラスコの中で肉汁を沸騰させたら微生物は発生しない。(肉汁は濁らない)
2.肉汁を沸騰させてから、フラスコを傾けて、外の空気に触れさせれば微生物は発生する。(肉汁が濁る)
ことを証明しました。
自然発生説より転載
つまり彼は、
1.液体を熱することで、微生物を殺すことが出来ること
2.微生物は自然発生するのではなく、別の場所からやってくること
を証明したわけですね。
ちなみに彼は、狂犬病、ニワトリコレラ、炭そ病などのワクチンの開発にも成功しているものすごい人です。
パスツール研究所なんてものもできるくらいです。
科学の実験でよく使う、パスツールピペットも、彼の名前からとられています。
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その他の様々な科学者の実験により、最終的に、
微生物は微生物からしか生まれない
ということがわかりました。
つまり、
ガラスや土などの無機物から有機物である生命は生まれない
ということがわかったのです。
ここでまた疑問が出てきました。
じゃあ、最初の生物って、どこから来たの?
生命のつくりかたに続く
(このエントリーは、2013.5.31発行のメルマガno.4に書きました「生命ってなに?」を加筆修正したものです。)