RTPCR検査の拡大?抑制?問題点は何なのか?を考察してみた
2020年7月頃から、ツイッターではRTPCR検査の拡大の是非をめぐって、RTPCR検査をスンナ派(するな派)とRTPCR検査をシーア派(しろ派)に分かれて対立をしています。
※実在のイスラム教の「スンニ派(スンナ派)」と「シーア派」とは一切関係ありません。
ツイッターではお互い罵り合っているだけで、なんの発展もないので、両者の主張を見ていき、解決策を探っていきたいと思います。
Contents
RTPCR検査の抑制派とは、
・RTPCR検査は感度が悪く、陰性の結果は何も保証しないからからダメ
・RTPCR検査をしても偽陰性の感染者が街を出歩き感染を拡大させちゃうからダメ
・RTPCR検査は費用がかかるからダメ
・RTPCR検査は、新型コロナウイルス以外のウイルスも検出しちゃうから無意味
・PCRを発明した「キャリーマリス氏」が、PCRはウイルスの検出には使えないと言っているから無駄
など、その内容は様々です。
また、RTPCR検査の拡大といっても、
・RTPCR検査をだれでも希望者に拡大しろ!
・RTPCR検査を医師が必要と判断した人にだけ拡大しろ!
の二つに分かれます。
では、実際にそれぞれの主張はどのようなものなのか?を検証していきます。
RTPCRをスンナ派の主張
RTPCR検査は感度が悪く、陰性の結果は何も保証しないからからダメという主張
「RTPCR検査は感度が悪く、陰性の結果は何も保証しない。不安解消のための検査は不要。」という主張をしている人がいます。
ツイッターでは、@SakamotoFumie 氏などが筆頭でしょうか。
検査抑制じゃないですよ。1月以来不安解消目的のPCRは意味がないと一貫して言っているだけで。単純化せずに、正確に理解する努力をお願いしたいです。
— Fumie Sakamoto,MPH,CIC 坂本史衣 (@SakamotoFumie) May 3, 2020
彼女らは、日本プライマリ・ケア連合学会などの主張をそのまま代弁しているにすぎません。
自分で考えたうえでの発言ではないと考えられます。
彼女らの主張は、
や
等で示されたものそのものです。
彼女らは、
PCR検査を希望する患者への説明例
⚫希望による新型コロナウイルスの検査はできません.
⚫新型コロナウイルスの検査が必要なときは,実施できる医療機関に紹介します
➢検査結果が陰性であることは,必ずしも感染がないことを示すわけではないので,症状があるうちは,マスクとこまめな手洗いをして外出を控えてください.
➢強い倦怠感や息切れなど症状が重いと感じたときは,すぐに当院か「新型コロナ受診相談センター」へ電話で連絡してください.
PCR検査の必要性も含めて医師又は担当者が判断します
■PCR検査では偽陰性が多く,陰性結果に伴う感染拡大のおそれがある
2020年4月現在も,新型コロナウイルスのPCR検査の診断特性(感度・特異度)は確立されていません.
非常に手間がかかるウイルス分離法を除けば,現時点では新型コロナウイルス感染症の検査法にはPCR検査しかなく,感度・特異度を求めるためのreference standard(参照基準)が定まっていないためです.
PCR検査はウイルスゲノムを検出するという原理から,一般論として感度は低く,特異度が高いと考えられます.
初期のPCR検査で陰性だが後日陽性となった患者等の検討により,感度は30~70%程度,特異度は99%以上と推定されています(referencestandardを対照とした検討ではないため,確立された数値とは言えません).PCR検査の感度が低いということは,偽陰性率が高いことを意味します.
すなわち,新型コロナウイルス感染症患者であるにもかかわらず,誤って陰性となり見逃される患者が一定数出ます.
この場合,偽陰性となった患者が陰性結果に安心して外出する等して,感染が拡大するおそれがあります.
検査件数が増加すれば,偽陰性で見逃される新型コロナウイルス感染者も増加し,感染拡大のリスクも高まります.
したがって,新型コロナウイルス感染症が疑われる患者に対して最も重要なのは,検査結果のいかんに関わらず外出を控えるように指導することです.
帰国者・接触者外来を受診してPCR検査を受ける患者に対して,たとえ結果が陰性であっても症状が続く間は外出を控えるよう指導が必要です.
また,疑いが低いにもかかわらず安心のために検査を希望する等の患者に対しては,PCR検査の限界と陰性結果が意味することについて十分に説明してください.
と、学会で示された指針をそのまま拡声器のように発信しているだけです。
この主張をする人たちは、現実に合わせて修正する能力がありません。
例えば、医師の判断がなければRTPCR検査は受けれない。という主張ですが、
2020年8月3日、澤田有也佳穴が医師に「かぜ」と診断され、自主的にRTPCR検査を受けたところ、陽性と判明したという事例から、意味をなさないことが明らかです。
これは、医師でも新型コロナの症状を見抜く能力がない。ということを裏付けています。
新型コロナウイルスかどうかの「確定診断」は、RTPCR検査かウイルス培養検査でしかできないのです。
よって、
医師の判断がなければRTPCR検査は受けれない。という主張は、新型コロナウイルスの感染拡大を助長してしまう恐れがあります。
なので、この主張は間違いだということになります。
ちなみに、この点については、私は2020年3月18日に指摘しております。
あ、この人、逆の思考なんや。
検査するから医師が確定診断できるんですよ。医師が確定診断したから検査するのではない。 pic.twitter.com/Y7j2MKdJj5— いいな (@iina_kobe) March 18, 2020
偽陰性の感染者が街を出歩き感染を拡大させちゃうからダメという主張
たくさんの医師が、「RTPCR検査は感度が悪く、検査結果が陰性であったとしても偽陰性(本当は感染している)可能性があり、その人たちが安心して街に出て感染を拡大させちゃうからダメ。という主張をしています。
そうなんですよね。
僕はブログでも申し上げていますが、PCRは無闇やたらに施行すべきではないと思っています。偽陰性の方を増やすのが怖いのが主な理由です。— MASAYUKI MUTO (@MasayukiMuto) May 19, 2020
しかしこれも、RTPCR検査の感度が悪いとの思い込みからくる間違いです。
「初期のPCR検査で陰性だが後日陽性となった患者等の検討により,感度は30~70%程度,特異度は99%以上と推定されています」とのプライマリケア合同学会の主張も「現在においては」間違っております。
そもそも、「初期のPCR検査で陰性だが後日陽性となった患者等の検討」は、3月頃のものであり、どの段階でウイルス量がどれだけあるのかもまだ未知な時のものです。
現状では、ウイルス量は症状の出る2日前には最大であるという論文などが出ているため、「検体採取の時期さえきちんと守れば」RTPCR検査そのものの感度もほぼ100%となります。
これは、7月17日のネイチャーでも報告されております。
コロナウイルスの標準RT-PCR検査は1〜4時間かかり、100%の精度まで上げることができます。
ただし、診断テストの正確さは、サンプルがきちんと採取されたときなどの多くの要因に依存します。
これについては新型コロナウイルスのRTPCR検査を受けるためのお約束をまとめてみたにも書いておりますのでお読みください。
そもそも論ですが、
と書いてあるんだから、ちゃんと検査後は自粛するように指導しましょうね。。。
PCR検査で、受診者がコロナ陽性か否かわかる。
偽陰性は30%、10日間の隔離をお願いします。偽陽性の1%は大切な人に感染拡大の恐れがあることを説明して納得いただきます。サンプルを取ることでどんな型のウイルスが広がり、どんな免疫が働いているか研究が進む。もう詭弁や屁理屈こねるな、邪魔するな— 倉持仁 (@UCiS7MEgWj6L7cV) July 26, 2020
RTPCR検査は費用がかかるからダメという主張
RTPCR検査には一件15000円ほどかかるから、1000人に検査拡大したら一日に1500万円もの大金がかかる!っていう人がいます。
しかしながら、検査にかかる試薬などの実費は500円前後なので、15000円なんてのはどこかがボッタクっているとしか考えられません。
実際にアメリカなどの検査は1000円前後もしくは無償ですよね。
PCR検査 無料 市民 400万人 アメリカ ロサンゼルス市 新型コロナウイルス
「一件〇〇かかる」からできないではなく、コスト削減を議論すべきですよね。(自動PCR機は知りませんが)試薬・消耗品は~2000円/件。あとは機器の初期投資(PCR機は~300万程度)と人件費。大規模にすればさらに安価に。
仮に2万円としても400億円で200万件。アベノマスク とどちらが現実であってほしい? https://t.co/pceJfGDw8E
— Koichi Kawakami (@koichi_kawakami) August 3, 2020
たくさんの人を検査したら、一人当たりの値段はものすごく安くできます。
大量にRTPCRをする手法についてはドライブスルーにおける大量のPCR検査のやり方を考察してみたをご覧ください。
新型コロナウイルス以外のウイルスも検出しちゃうから無意味という主張
新型コロナウイルス以外のウイルスも検出しちゃうから無意味という主張も存在します。
ここまでいくとトンデモの領域になっちゃうんですが、まあ、説明します。
地球上にいる生物は全て、ATGC(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)と呼ばれる4つの塩基で遺伝子が構成されています。
※RNAを遺伝子として持つものはTの代わりにU(ウラシル)を持つ。
この4つの塩基がたくさん並んで生物の設計図であるゲノムが構成されています。
人間のゲノムは約30億個の塩基が並んでおりますが、4つの塩基がただ並んでいるにすぎません。
この4つの塩基の並び方ですが、生物によって異なります。
例えば、ATGCCGって6つの塩基が並んでいるとしましょう。
最初にAが並ぶ確率は、1/4です。
その次にTが並ぶ確率は、1/4です。
次にGが並ぶ確率は、1/4です。
次にCが並ぶ確率は、1/4です。
次にCが並ぶ確率は、1/4です。
次にGが並ぶ確率は、1/4です。
よって、ATGCCGっていう並び方は、(1/4)^6の確率で起こります。つまり、1/729なので、この配列は729回に一回出現します。
ATGCCGATGCCGと並ぶ確率となると、(1/4)^12となり、この配列は531441回に一回出現します。
新型コロナウイルスの同定に使用する配列は、プライマー、プローブを合わせて約50塩基あります。
よって、これと同じ配列になる確率は、(1/4)^50となります。
7.8886091e-31 つまり、この配列は、78886091000000000000000000000000回に一回出現する配列となります。
この78886091000000000000000000000000回に一回出現する配列は、地球上では「新型コロナウイルスのゲノム」にしかありません。
なので、他のウイルスや、人間の配列を検出できません。物理的に。
なので、その他のウイルスを検出しちゃうというのはデマです。
「キャリーマリス氏」が、PCRはウイルスの検出には使えないと言っているから無駄という主張
キャリーマリス氏は、PCRが「ウイルスそのものを検出するわけではない。ウイルスのゲノムを検出するものだ。」と言いました。
それを、誰かが、「ウイルスそのものを検出するわけではない。」→「ウイルスを検出するわけではない。」と脳内変換し他だけです。
なので、
PCRはウイルスの検出には使えないですが、ウイルスゲノムの検出には使えます。
RTPCRをシーア派の主張
RTPCR推進派には、「RTPCR検査をだれでも希望者に拡大しろ!」という人と、「RTPCR検査を医師が必要と判断した人にだけ拡大しろ!」
の二手に分かれます。
RTPCR検査をだれでも希望者に拡大しろ!と主張する人
実は私はこの主張の人なのかもしれません。
実際に世界では多くの国が「とりあえずRTPCRをしろ!」そして「隔離しろ!」となっております。
これが現実には一番感染拡大を封じ込めれる手法だと思います。
この主張の肝は、
「検査」と「隔離」と「補償」がセットになっているということです。
これらがセットになっていないと意味を成しません。
私が安心したい人がRTPCR検査を受けたいならば20万円。
濃厚接触者などは0円。
と主張しているのは、検査場が混雑しないように、必要な人に必要なぶんだけ十分に検査が行われるようにとの判断からです。
私が提案してるのは、濃厚接触者や37.5度の熱が続いているような人はドライブスルー検査を保険で受けれる。それ以外の人は1人20万円で検査を受けれる。なんだけどなぁ。これだと普通の医者がかかる心配は少なくなるし、心配な人は検査受けれるしで誰も損しないと思うのですが。それもダメですか?
— いいな (@iina_kobe) March 14, 2020
無料でPCR検査なんかさせたらみんな並ぶに決まってる。1人20万とりゃいいだけ。なんでそれができないのか、謎すぎる。
— いいな (@iina_kobe) April 10, 2020
現状、検査が2~4日待ちとなっているところもたくさんあります。
これは一番ダメな状況ですね。
RTPCR検査を医師が必要と判断した人にだけ拡大しろ!と主張する人
医師などのシーア派は、「RTPCR検査を医師が必要と判断した人にだけ拡大しろ!」の人が多いです。
その理由は、「医師が症状を見て、必要と判断すべきと先の学会の指針などに示されているからです。
ただ、もちろん、事前確率の低い無症候者にたいする闇雲で無制限なPCRや、自費での野良PCR事業、陰性証明等を目的とする無意味な検査はすべきではなく、スンナと思ってはいるよ
赤ちゃん
そこがわかっていないと、「検査スンナ派」みたいな単純な間違ったレッテル貼りになるよね
https://twitter.com/minesoh/status/1289973173341970433?s=20
普通の感染症や病気の場合はこの指針で大丈夫なのですが、新型コロナウイルスは、無症状で感染を拡大させていくという能力があるため、この指針は使用できません。
何故なら、無症状の感染者を医師は見抜けないからです。
まあ、医師以外も誰も見抜けないですが。。。
感染しているかどうかを見抜くには、RTPCR検査が一番安くて速いんです。
抗原検査はそんなに感度がよくありません。だいたい60%とかです。
医師が見抜けないのであれば、検査で見抜く方法しかなく、その手法、やり方を磨いていき、速く、安く、安全にできる方法を模索すべきなのです。
しかしながら、相手の主張すら理解せずにブロックしたりする人が多いため、国民の利益になっていないですね。
また、一般の人は医師に絶大な信用を置いているため、知識もないのに敵視したりしてきますね。
自分の力で考えることが大事ですね。
私の言っていることを理解してくれる人が現れたりするとうれしくなりますね。
この議論の時完全に、PCRそのものの感度が70%程度だと思っていましたが、それは自身の学生実習を思い返してもあり得ない事で、完全な誤りでした。また、それにあたっての発言も大変失礼なものであり、申し訳ありませんでした。
— maimoku (@maimoku2) August 2, 2020