巷でウワサの抗体検査キットについての解説
2020-03-26
最近、新型コロナに感染しているかどうかをチェックするためのPCRの代わり?となる抗体検査キットがたくさんの会社から出てくるようになりました。
なので、それについて書いておきます。
Contents
RTPCRと抗体検査の違い
RTPCRによる新型コロナウイルスのチェック
RTPCR法では、鼻の奥の粘膜や喉の奥の粘膜、痰などを取り、その中に、ウイルスがいるかどうか?をチェックする方法です。
やり方は、ウイルスを直接採取して、そのウイルスのゲノムを増やして可視化してやることで、
可視化出来たらウイルスがいる=陽性
可視化出来なかったらウイルスがいない=陰性
となります。
そのチェック法などは、RTPCRをしたことのない人の勘違いについて書いてみたや新型コロナウイルスに関するPCR検査のあれこれを書いてみたなどをご覧ください。
抗体検査による新型コロナウイルスのチェック
抗体検査による新型コロナウイルスのチェックは、ウイルスに感染し、体内の防御機構によって産出された抗体があるかどうか?でウイルスがいるかどうか?をチェックする方法です。
やり方としては、血などを採取し、その中に抗体があるかどうか?をチェックします。
抗体があったら、ウイルスに感染している=陽性
抗体がなければ、ウイルスに感染していない=陰性
となります。
RTPCRと抗体検査のメリットとデメリット
RTPCRと抗体検査の違いとしては、RT-PCRはウイルス感染の初期から感染の有無がチェックできるのに対し、抗体検査キットでは、抗体ができた後にしかチェックできません。
抗体は症状が出てから数日後(ウイルスにもよりますが、だいたい7日後)に出てくるので、抗体検査は感染初期、もしくは症状の出ない人はチェックできない可能性があります。
精度はほぼ変わらず、RTPCRも抗体検査も90%以上の精度を持ちます。
今までのRTPCR(ネスティッドまで含めて)は3時間ほどかかるのに対し、抗体検査では10分程度でチェックできます。
RTPCRでは、のどや鼻の奥から検体を採取しますが、抗体検査では、一滴の血で検査できます。
もうすぐ利用可能となるスマートアンプ法などでのRTPCRでは検体採取からRNA抽出無しで、10~30分でチェックできます。
抗体検査が無症状で△にしているのは、無症状の場合、抗体ができるのかどうか?がまだ不明だからです。
抗体検査キットについての解説
やり方の解説
塩野義製薬さんが新型コロナを10分で検査できるという中国の検査キットを輸入すると言いました。
新型コロナを10分で検査、中国の検査キットを塩野義製薬が導入へ
この記事の写真を見てもらうと、
妊娠検査薬やインフルエンザの検査キットのような下の図のようなものがあります。
この検査キットは、水滴模様💧のついた部分に血液を落とし、付属の液体をかけると、水分がどんどん矢印の方向に移動して、水滴模様→IgM→IgG→Cって書いてあるところまで移動していく仕組みとなっております。
もし、血液の中に、IgMやIgGという抗体ができていたらそこの部分が赤く色づく。というわけです。Cのところは検査終了のお知らせをしてくれるとこです。
抗体の種類
新型コロナウイルスが体の中に入ってくると、体は、異物が来た!と認識して、IgM(アイジーエム)抗体を産出します。
IgMはウイルスの種類などにもよりますが、侵入してから約7日後くらいに出てきます。
その後、一か月くらいはIgMが出ています。
二回目にウイルスが侵入してくると、IgMは、最強のIgG抗体にクラスチェンジします。
インフルエンザのワクチンを二回打つのは、IgGを出すためですね。
この検査キットは、IgMとIgGができているかどうか?をチェックするためのものです。
金コロイド
金コロイド(きんころいど)とは、1マイクロメートル以下の金微粒子(ナノ粒子)が、流体中に分散しているコロイドのことです。
色は10ナノメートル程度の微粒子の場合は赤色になります。
この抗体キットの液体は、実は、この金コロイドの中に新型コロナウイルスのたんぱく質(多分スパイク部分)を閉じ込めたものです。
二次抗体
このキットには、新型コロナウイルスに対するIgM抗体を認識する二次抗体と、新型コロナウイルスに対するIgG抗体を認識する二次抗体を使用します。
これが、検査キットの、IgMのところと、IgGのところにくっつけてあります。
ウイルスに感染していなかった場合
新型コロナウイルスに感染していなかった場合、人間の体には新型コロナウイルスに対するIgM抗体もIgG抗体もできておりません。
なので、この抗体検査キットを使用すると、Cの部分にのみ、金コロイドが集まり、Cの部分が赤く染まります。
IgMやIgGのところにはウイルス抗体がないので、金コロイドが集まりません。
だから、白いままです。
ウイルスに感染していてIgMができていた場合
ウイルスに感染して、7日ぐらいたつと、新型コロナウイルスに対するIgM抗体が出てきます。
血液の中には新型コロナウイルスのIgM抗体が入っているので、この抗体検査キットを使用すると、新型コロナウイルスに対するIgM抗体が金コロイド内のウイルスのタンパクとくっつき、それがIgM抗体を認識する抗体にくっつき、IgMの部分に金コロイドが集まり、IgMの部分が赤くなります。
同様に、Cの部分にも金コロイドが集まり、Cの部分が赤く染まります。
IgGのところには新型コロナウイルスIgG抗体がないので、金コロイドが集まりません。
だから、IgGのところは白いままです。
ウイルスに感染していてIgMもIgGもできていた場合
ウイルスに感染して、一か月ぐらいたつと、新型コロナウイルスに対するIgMとIgG抗体が出てきます。
血液の中には新型コロナウイルスのIgM抗体とIgG抗体が入っているので、この抗体検査キットを使用すると、新型コロナウイルスに対するIgM抗体とIgG抗体が金コロイド内のウイルスのタンパクとくっつき、それがIgM抗体とIgG抗体を認識する抗体にくっつき、IgMの部分とIgGの部分に金コロイドが集まり、IgMとIgGの部分が赤くなります。
同様に、Cの部分にも金コロイドが集まり、Cの部分が赤く染まります。
このようにして、IgM抗体ができているか?IgG抗体ができているか?を調べるのが、抗体検査キットです。