ファクトチェック福島をファクトチェックしてみた

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ファクトチェック福島をファクトチェックしてみた

2018-04-12

2011年3月11日に起こった東日本大震災の津波により、福一原発が停止、その後水素爆発し、放射性物質がばらまかれてしまうという事故が起きました。
そして、そこに残ったのは、「放射線で人がバタバタ死ぬ」や、「福島県中通りでコメをつくっている農家は、サリンを製造したオウム信者と同じ」などといったデマや差別でした。


https://twitter.com/tokaiama/status/172302835399139329 ←凍結されました。

Contents

ファクトチェック福島とは?

こういうデマや風評被害につながる言説は2018年の今でもたくさん残っております。
そして、こういう言説に対する「ファクトチェック」、いわゆる事実かどうかを検証するという名目で、株式会社シノドスが、「ファクトチェック福島」というサイトを立ち上げました。

そして、クラウドファンディングによって、500万円を超す資金を集めております。
「福島関連デマ」を撲滅する!――エビデンスベースの冷静な議論をするために

「福島関連デマを撲滅する!」プロジェクト立ち上げメンバー は、
芹沢一也(株式会社シノドス代表取締役、一般社団法人シノドス国際研究所代表理事)
開沼博(立命館大学衣笠総合研究機構准教授、東日本国際大学客員教授)
服部美咲(フリーライター)
林智裕(フリーライター)
協力:RANDAR
となっております。

※ちなみに、放射線に詳しい人や、生物学者は含まれておりません。

このサイトの目的は、

1.人々の不安を助長する誤った情報や根拠のない言説を検証し記録する「Fact Check」
2.この6年で分かってきた科学的知見や情報をまとめる「基礎知識」
3.専門家インタビューや調査レポートなど「記事・寄稿」

と書かれております。

ファクトチェック福島の基礎知識を検証する

このサイトの目的の2にある

この6年で分かってきた科学的知見や情報をまとめる「基礎知識」

には、このように書かれています。

この6年で多くの科学的知見が明確になってきました。
すでに科学的に明らかになった事実を、正しく、かつわかりやすく、ごまかさずに率直に伝えることは、第一にすべきことです。
「科学的には怖がらなくてもいい」から出発し、「あなたが怖いことは当たり前」と受入れ、その上で「安心して幸せな生活を営めるためにどうすればいいのか」を共に考えることが、私たちの目指す道です。
科学的知見や情報をまとめて、誰でも簡単に参照できるようにします。

というわけで、この「基礎知識」には、科学的に正しい知識が書かれているということです。

なので、検証してみました。

検証しようとしてたら、消されてた!!!

なんと、基礎知識を検証しようとしていたら、2018年4月11日現在、これらの基礎知識の記事が消されていました!

検証されたらヤバかったんですかねぇ???
まあ、ぶっちゃけ、このブログは、消されてたから書こうと決意したんですけどねw
こんなこともあろうかと、私は普通にスクショ取っていたので、それで検証していきますね!!!

消される前の基礎知識のページ

消される前の基礎知識のページはこんな感じで、20個ほどのエントリーがありました。

では、代表して数個のエントリを科学的に検証していきます。

確率的影響と放射線防護を検証してみた

確率的影響と放射線防護
2018年4月4日

放射線は人の健康に影響を及ぼすことがあります。放射線を浴びる量(放射線被曝量)によって、その影響は「確定的影響」と「確率的影響」に分けられます。ここでは、低い量の放射線を被曝した場合の確率的影響について考えます。
まず、ある年齢、性別などの構成、生活習慣を持った人たち(集団)ががんによって亡くなる人数から、その集団の中で今後がんによって亡くなる人の数を予測します。たとえば、現在もともと日本人の約1/3以上が、なんらかのがんによって亡くなっています。
上記の要件が類似した集団が、一定量の放射線に被曝した後、(自然に起こり得る揺らぎの範囲を超えて)予測よりもたくさんの人数ががんによって亡くなるような放射線の影響を、確率的影響といいます。

がんにかかる原因は、加齢や遺伝、また他にも無数に存在するため、実際に低い線量の被曝ががんの発症にどれだけ影響しているのかを、他の要因と区別して確認することはできません。

このように実際に観測はできないものの、国際放射線防護委員会(ICRP)は、「どんなに低い量の放射線被曝であっても、放射線の被曝線量に比例してがんは増加する」と安全側に仮定して、放射線に関する政策や放射線を扱う施設はつくられるべきだと勧告しています。

なお、1945年に原子爆弾が落とされた広島と長崎において、60年以上にわたり、10万人規模の人たちを対象に、がんによる死亡率についての追跡調査が行われています。

この結果、100mSvに満たない量の放射線に被曝した人たちの間では、自然に起こり得る揺らぎの範囲を超えて、がんによって亡くなる人の数の増加は観測されないことがわかりました。(なお、原子爆弾で被爆した人の子孫については、被曝した放射線の量にかかわらず、発がん率を含めて一切の遺伝的影響はありませんでした。)

放射線の被害は、放射線を浴びるとすぐに身体に影響があるもの(確定的影響)と、その時はどうもないけども、あとから影響が出てくるもの(確率的影響)があります。
詳しくは、 デマはこうして作られる:実際にあったデマ編 その1とかをお読みください。
ファクトチェック福島の基礎知識の確率的影響の項目には、

1945年に原子爆弾が落とされた広島と長崎において、60年以上にわたり、10万人規模の人たちを対象に、がんによる死亡率についての追跡調査が行われています。

と、LSS調査(寿命調査、Life Span Study)を元にしたお話が書かれています。
そして、

この結果、100mSvに満たない量の放射線に被曝した人たちの間では、自然に起こり得る揺らぎの範囲を超えて、がんによって亡くなる人の数の増加は観測されないことがわかりました。

と書かれています。

しかし、LSS調査には、「(総固形がん死亡)リスクが有意となる線量域は0.20Gy(約200mSv)以上であった。」と記してあるだけで、100mSvに満たない被ばくで癌によって亡くなる人の数の増加は観測されない。なんてのは書かれてないのです。
参考:原爆被爆者の追跡調査

おそらく、LSS調査によって、200mSvを三か月の間に浴びた人の1%になんらかの確定的影響(めまいとかも含む)が出たのだから、100mSvなら0.5%、10mSvなら0.05%の人に影響が出るだろう。っていうLNTから100mSvを割り出したのだと思いますが、放射線の影響で癌になって死亡するリスクの増加が有意となるのは0.20Gy(約200mSv)以上であるので、ファクトチェック福島がそれを100mSvとしている根拠が不明です。

また、「ガンによって亡くなる人の数」っていうのも、現代医療では早期発見によりほとんどのガンは治るので、あんまり意味がないです。
比較するのであれば「発がん率」もしくは「DNA変異率」だと思います。
ちなみに、原爆が落とされた当時は線量計などの技術も未熟でしたので、実際にどれくらいの被ばくをしたのかも推測でしかありません。
なので、このLSSは参考にしかならないわけです。

また、

なお、原子爆弾で被爆した人の子孫については、被曝した放射線の量にかかわらず、発がん率を含めて一切の遺伝的影響はありませんでした

というのは明らかに間違いです。
1Svとかの高線量被ばくをした人は、生殖細胞の中のDNAに「身体の特徴などに影響のない変異」や「生存や発生に影響のない変異」が入っていることがあります。
そして、それらの生殖細胞が受精し、子供に遺伝している可能性は大いにあり得ます。
また、被爆によるDNAの突然変異が元で受精後に発生できずに死んでしまったという場合もたくさんあり得ます。
なので、

「一切の遺伝的影響はありませんでした」は、科学的にはおかしいです。

書くのであれば、被爆者の子孫に、見た目的な身体に悪影響を及ぼすような状態で生まれてきた人は見つかりませんでした。
ですね。
被爆による生殖細胞中のDNAの変化はもちろん遺伝しますので、遺伝的影響は必ずあります。
しかし、それが見つかるかどうか?は別問題です。

さらに、なぜかこのエントリーに、

のような図が載っておりますが、これの説明は一切かかれておりません。
っていうか、縦軸横軸の数値すらもわかりません。
この図にしきい線量が出てくる意味もわかりませんし、実際のしきい値は下図に私が赤線で書いたところです。
※しきい線量は後で説明します。

また、「容認できるレベル」も誰がなにに対して容認できるのかすら不明で、非科学的な感情的なグラフのようです。
なぜ、容認できるレベルが、自然発生率の線量よりも低いところにあるのかも謎です。
自然放射線は容認できないという意味なのでしょうか?

それなりの科学者が編集しているのであれば、こんなことにはならなかったでしょうに。。。

確定的影響としきい値を検証してみた

確定的影響としきい値
2018年4月3日

放射線は人の健康に影響を及ぼすことがあります。放射線を浴びる量(放射線被曝量)によって、その影響は「確定的影響」と「確率的影響」に分けられます。ここでは、一度にたくさんの放射線被曝をすることで起こる「確定的影響」を考えます。

確定的影響とは、全身や体の一部に一度にたくさんの放射線被曝をしたために、体の組織や器官が傷つけられて起こるもののことです。ある量以上の放射線を浴びると現れること(逆にある量以下では現れないこと)、また、被曝線量が多くなるほどその影響が大きくなることが特徴です。

確定的影響では、皮膚のやけどや紅斑、脱毛、出血や白血球の減少(造血機能の低下)などの組織反応が翌日~数ヶ月の間に起こるほか、目の水晶体が傷ついて、数年後に白内障を起こすこともあります。

確定的影響は、一度にたくさん被曝すれば起こりますが、ある一定の量以下であれば起こることはありません。被曝した人たちのうちの1%以上にこれらの症状が起こった場合、その量を「しきい値」(発症に必要な最小限の放射線量)と言います。

たとえば、確定的影響のうちでも比較的低い線量で起こりうる「男性の一時的不妊」のしきい値は150~200mSv以上です。この線量を一度に精巣に被曝すると、被曝したうちの1%以上の男性が、一時的に不妊状態になり得ます。ただし、精巣の細胞は代謝が活発であるため、数ヶ月~2年ほど(線量による)で回復します。

一方で、3500~6000mSvの放射線を精巣に一度に被曝すると、被曝したうちの1%以上の男性が永久不妊になります。同じ3000~5000mSv以上の放射線でも、これを全身に一度に浴びると、浴びた人の半数以上が死んでしまうと言われています。放射線を浴びるときに、全身か体の一部かによって、その影響は異なります。

いずれにせよ、福島第一原発事故による放射線で、一般住民はもちろん構内作業員や除染作業員を含め、確定的影響を起こすような被曝をした人は1人もいません。

ここでは、しきい値の説明をしています。

しきい値は、0か1かの分かれ目の値の事です。
参照: しきい値 一般的にある値以上で効果が現れ、それ以下では効果がない境界の値をしきい値という。

しかし、この基礎知識の中には、

被曝した人たちのうちの1%以上にこれらの症状が起こった場合、その量を「しきい値」(発症に必要な最小限の放射線量)と言います。

と、日本語的にも意味不明なことが書かれています。
」ではなく「」と書かれていますし、「1%以上に」の意味も不明です。
では、どこから1%が出てきたのでしょうか?
おそらく、しきい線量としきい値の違いを理解していないから、これらを混同したのだと思われます。

しきい値とは、発症に必要な最小限の放射線量のこと

で、

しきい線量とは、放射線治療において放射線に感受性の高い人や低い人がいることを考慮し、5年以内に1-5%の患者に障害を生ずる可能性のある線量の最小値のこと

で、おそらく治療目的で作られた言葉だと思います。

要するに、しきい値は、一人でも影響がでる最低限の線量のことです。

しきい線量とは1~5%の人に影響が出るとされる線量の最低値のことです。
治療のメリットと放射線照射のリスクとを比較して、患者に対して放射線治療を行うかどうかを検討する際に使用されるようです。

放射性物質の基礎知識――「放射線」「放射能」「半減期」を検証してみた

放射性物質の基礎知識――「放射線」「放射能」「半減期」

2018年2月8日

物質は原子という粒でできており、原子はさらに中心の原子核とその外側を回る電子でできています。身の周りにある物質に含まれる原子核は多くが安定、つまり未来永劫にわたって変化しませんが、なかには不安定なもの、つまり時間が経つと変化してしまうものもあります。不安定な原子核をもつ原子が「放射性物質」です。

たとえば、東電福島第一原発事故で飛散したおもな放射性物質のひとつであるセシウム137は、いずれバリウム137という別の原子に変化します。これを放射性物質の「崩壊」といいます。崩壊する際には余ったエネルギーが、原子核の外に「粒子」として放出されます。これが「放射線」で、また「放射能」とは放射性物質が放射線を出す能力をいいます。

セシウム137が崩壊する際にはベータ線(その正体は電子です)とガンマ線(その正体は強い光です)をひとつずつ出します。ガンマ線のエネルギーは放射性物質の種類によって異なるので、エネルギーを測ればどんな放射性物質から出たガンマ線かがわかります。また、ストロンチウム90やトリチウムのように、ベータ線しか出さないものもあります。

放射性物質の量を測る単位が「ベクレル」です。1ベクレルの放射性物質があれば、1秒間に1個の割合で崩壊が起きます。たとえば、1キログラムあたり100ベクレルの放射性セシウムを含む食品が100グラムあれば、そのなかでは毎秒10個の放射性セシウムが崩壊しています。

また、大人の体のなかには自然放射性物質であるカリウム40が4000ベクレルほど含まれます。つまり、体のなかでは毎秒4000個のカリウム40が崩壊して放射線(この場合は多くがベータ線で約1割がガンマ線です)を出しているわけです。

放射性物質は放射線を出して別の物質に変化しますから、だんだん量が減っていきます。放射性物質の量が半分に減るまでの時間を「半減期」といい、これは放射性物質の種類によって異なります。

東京電力福島第一原発事故で飛散したおもな放射性物質は、ヨウ素131(半減期約8日)、セシウム134(半減期約2年)、セシウム137(半減期約30年)です。また、ストロンチウム90(半減期約29年)も少しありました。

ヨウ素131は半減期が短いので、すでにありません(半減期の10倍の時間が経つと、量は1/1000以下に減ります)。セシウム134も事故から7年後(執筆時点)でもとの1割以下に減っていますので、今後は汚染物質のほとんどがセシウム137だと考えておけばいいでしょう。

ここで注意しておくと、半減期の長さにかかわらず、1ベクレルの放射性物質は1秒間に1個崩壊します。放射性物質の量を重さや数ではなく、ベクレルで表すほうがいいのはそのためです。

いっぽう、体が放射線をどれだけ受けたか、いわゆる被曝量を測る単位が「シーベルト」です。被曝量はどれだけのエネルギーをもつ放射線を何個受けたかで決まります。体の外にある放射性物質から放射線を受ける「外部被曝」も、体のなかで放射性物質が崩壊して放射線を受ける「内部被曝」も同じシーベルトで測り、総被曝量はその足し算になります。

たとえば、日本人は外部と内部を合わせて平均で年間2.1ミリシーベルト(ミリは1/1000)の自然被曝(自然界にある放射性物質や宇宙線による被曝)をしているとされています。また、現在の食品の基準値は、年間の内部被曝が最大でも1ミリシーベルトに達しないように決められています。

放射性物質の量を測る単位が「ベクレル」です。と書いてありますが、これは間違いです。

放射性物質の量を測る単位なのであれば、放射性セシウムと放射性カリウムの混合した土にそれぞれどれだけの放射性物質が含まれているかを計測できるはずですが、それはできません。
なぜなら、ベクレルは、量を測る単位ではないからです。
おそらく、量が測れるとしたら、単一の放射性物質が含まれているもののみでしょう。
今回の事故により放出された放射性物質も数種ありますし、自然にも放射性カリウムやラジウムなどが存在しますので、単一の放射性物質が含まれているものを計測する機会なんてほとんどないと思いますので、ベクレルを放射性物質の量を測る単位として用いるのは科学的にも間違いだと思います。

ベクレルとは、「放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数(放射能)を表す単位」
であって、量の単位ではないです。

単一の放射性物質が含まれているものを計測する場合には、ベクレルは元の放射性物質を表す量「としても」つかえますが、ベクレルの定義は、量ではありません

また、このエントリーには「今後は汚染物質のほとんどがセシウム137だと考えておけばいいでしょう。」と書かれています。
セシウム137が汚染物質かどうかは置いといて、ここでは明確に、福一から放出された人工核種であるセシウム137のみ考えておけばいい。っていうふうに書かれております。
しかし、世の中には、カリウム40などの天然に存在する放射性物質がたくさん存在します。
この基礎知識の中には、「人工放射線」と「自然放射線」とで人体への影響に差はあるのか?というエントリも存在していて、そこには、

放射線によるリスクにとって自然か人工かは区別せず、すべてを合わせた被曝線量で考えることが大切になります。

と書かれています。

参照:

なのに、ここではなぜか、放射性カリウムなどは無視して、「今後は汚染物質のほとんどがセシウム137だと考えておけばいいでしょう。」と書かれているわけです。
おかしいですよね。
本来ならば、「放射線によるリスクにとって自然か人工かは区別せず、すべてを合わせた被曝線量で考えることが大切」なのに、福一から放出された放射性物質からの人工的な放射性物質による追加被爆のみを計測し、全体の線量では考えていないということになっちゃっています。
ホールボディーカウンターもそうですよね。
調べラボもそうですよね。
セシウムのみを計測し、検出されませんでした!としていますね。
不思議ですね。

ファクトチェック福島の基礎知識は誰が監修しているのか?

ファクトチェック福島の基礎知識(今はなぜか消えている)にはこれ以外にもたくさんの基本的な間違いがたくさんありましたが、全部チェックするのもしんどいのでこれくらいにしておきます。
しかし、なんでこんなに基本的な知識に間違いが多いのか?
調べてると、わかりました。


なんと、放射線に関しては素人の大阪大学大学院理学研究科物理学専攻及び同大学サイバーメディアセンター教授の菊池誠さんが監修していたみたいですね。

そりゃ、素人が監修したらこうなるよね。。。
ちなみに、
「いちから聞きたい放射線のほんとう」という本の書評(というかファクトチェック)は私のメルマガno.46 2014.3.28発行でも書いていたので、近々アップしますね。


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