【白から見ると暗いけど黒から見れば明るいグレー】

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【白から見ると暗いけど黒から見れば明るいグレー】

2017-07-17

寄稿 by syoutyann

生まれも育ちも神戸の一市民が、2013年の4月に38歳で初めて神戸を出て南相馬に来てから4年が過ぎました。

この4年、神戸にはない歴史文化・生活や仕事感覚・言葉感覚など様々な違いを学ばせてもらったのですが、そんな中で身にしみて大切だと感じたことは、
『冷静になって客観視すること・俯瞰して考えること』
であったように思います。

Contents

自分の目でちゃんと見て体でしっかり感じることの大切さ

南相馬に来た時にまず驚いたのは、ほんの2年前にふくいちから30キロ圏内の大変な目に遭った街とは思えないほど元気な方が多く、街全体にゆるーい空気が流れていたことで、デザイン学生時代の先生によく言われていた
『自分の目でちゃんと見て体でしっかり感じることの大切さ』
を改めて思い知らされたのですが、それともうひとつ、神戸の頃と比べると偏りのない考え方を持っている方が多いことにも驚かされました。

客観視すること・俯瞰することが大切

その理由のひとつとして、原発事故直後の世間が放射能風評だらけだった中で南相馬の人々が生まれ育った故郷で生きていくために、どのメディアが正しくどのメディアが間違った報じ方をしているか、どの人が専門家でどの人がエセなのか…
もうしんどい!なら、これまで知らなかった放射線・放射能のことを自分たちで・みんなで勉強していくしかない!
と、街全体で試行錯誤取り組んでいったことの影響もあるのかな?と思ったりしつつ、そんな南相馬のみなさんと一緒に過したことで、メディアや世の中を『客観視すること・俯瞰すること』をより意識するようになり、また神戸から離れてみたことで神戸にいたままでは気付けなかったであろう、神戸の良いとこ悪いとこ・魅力や強みが見えてきたように思い、このような場合でも
『客観視すること・俯瞰することが大切なのだ』
と気付けたように思います。

自分ごと・自分の生活が優先に

神戸の頃や他の東日本沿岸部と比べるとまだまだこれからの今の南相馬ですが、震災から6年が過ぎなんとなくの生活感も戻り…阪神淡路大震災を経験した方ならなんとなく想像出来ると思うのですが、世の中がバブル崩壊で不穏な空気が流れていた中、ほんの数年前に大震災があったことが嘘であるかのように震災前の当たり前の感覚を取り戻した頃の…でも、街や周りの人に対してだんだんネガティブになっていく頃の空気感と似てきているように感じます(震災バブルの崩壊)。

あくまでもそう感じるのは神戸の経験からですが、経済的にネガティブになると『自分ごと・自分の生活』がどうしても優先になってしまい(当たり前の大事なことですが)、街のことは二の次・最悪は無関心になり、別のところに向いていた不安や怒りの矛先が行政の方へ変わってきているような、『震災後、自分の生活や街が悪くなったのは神戸市のせい』みたいになっていきそうな空気を感じるといいますか。
(色々失敗もあったけど失敗だらけでもなく、市民の知らないところで行政破綻を自らの力で回避し、震災の借金をコツコツと完済したことは元市民としてもの凄くありがたくて誇らしいことだと思っています)。

そのような空気になると、せっかくの『客観する・俯瞰する』感覚も微妙になり、せっかく見えてきた我が街の魅力が霞み、また、震災後の賑やかだった頃の反動で震災以前より街全体の空気がトーンダウンしていく怖さも感じます。

人のせいにするのは簡単

…東日本大震災が起きて間もない頃の神戸にいた時に聞いたAveさんの歌の歌詞で、

“人のせいにするのは簡単。それを自分ごとにして前に進もうぜ!じゃ、オレが動くから!”

といった意味合いのフレーズを聞いた時、神戸の人達もそうやって立ち上がろうとしていたのに、そのことを忘れちゃったよねと寂しくて悔しくて泣いちゃいましてね(神戸を出ちゃったのはAveさんのせいでもあるねw)。JAS何たらとかがめんどくさいのでこんな書き方になっちゃってダサいので、気になった方は“福の歌 頑張っぺver”ググって聴いてみてくださいw

あ、そういえばこれがあった!(『復興した街から復興する街へ』Youtube

神戸で被災した自分にとっての震災(後)の教訓

今、全国各地で我が街を盛り上げようと取り組んでいるところが多くありますが、それにも

『客観する・俯瞰する』感覚の有無・大小

が大きく関わっていると思います。

そういうことをちゃんとせずに新しいことをしようとすると、結局は自己満の井の中の蛙状態で街や文化が進化せず、下手すれば退化していく要因になっていくとも思います。

新しい情報を取り入れることは大切なことですが、
『自分の目でちゃんと見て体でしっかり感じ取りつつ、客観視・俯瞰して精査した上での判断・工夫』
か、ただ誰かの情報を聞いての判断・鵜呑みかでは、結果が全然違ってきます。

(…神戸で被災した自分にとっての震災(後)の教訓は、この辺でもあります。)

グレーは明るい色か暗い色か?

話は少し変わりますが…自分は幼い頃から色鉛筆や絵の具を使うことが好きで、難しいことをちゃんと理解したい時に、一旦色やデザインに関することの考え方に置き換えて考えてみることが多いのですが、例えば『グレーは明るい色か暗い色か』というのはそれだけでは答えが出せないことと思っていて、白側から見ると暗く見えるし黒側から見ると明るく見えるものだから、何に対して明るいのか暗いのか、またどの辺りのグレーなのか、

グレーでも赤みが強いのか青みが強いのか

……などを見定めることと、これまで述べたような『客観する・俯瞰する』行為というのとはよく似ていると思っていまして、自分なりの得意な考え方があれば、それに置き換えて考えてみるのもひとつの手かと思います。

南相馬に遊びに来てほしい

『正しいことを自分の目で確かめ、ちゃんと判断出来るようになりたい!』

『自分の街を盛り上げるために自分の街をしっかり客観視出来るようになりたい!』

というところとして南相馬は今も日本の中でもうってつけなところかと思いますし、互いの街のことを学び教え合うことの出来る関係になれたら嬉しいな、気付けてなかったことに気付き合えるときっと互いのプラスにつながるから!と思っていますので、いつか機会を作って是非遊びに来てください!

7月29・30・31日はいにしえの時代から何百年も続いている南相馬の神事『相馬野馬追』が。
9月2・3日は余所者の自分をイチクリエイターとして育ててくれた『もとまつりFINAL』が開催されます☆


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